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マーケティング
2026.01.30

韓国向け越境ECを始めるには?市場概況や導入のポイントを徹底解説

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1. 韓国における越境ECの市場規模

韓国はインターネット接続率とキャッシュレス決済の浸透率が非常に高く、EC市場全体がアジアの中でも突出した成長を遂げています。2022年時点のBtoC-EC市場規模は約1,360億米ドルに達し、世界全体のBtoC-EC市場の中でも上位に位置しています。中国、アメリカ、イギリス、日本に次ぐ規模で、人口約5,100万人という比較的小さな市場ながら、国民の約30%がオンラインで商品を購入しており、EC化率は世界でも上位にあります。

このような背景には、インターネット環境の整備とスマートフォンの普及、キャッシュレス決済の圧倒的な利用率があります。韓国では93.6%近いキャッシュレス決済比率を誇り、これは日本の約32.5%と比べても大きく上回ります。こうした高いデジタル化は、ECおよび越境取引の基盤として機能しています。

越境ECの市場規模そのものは、国内EC市場に比べるとまだ発展途上ですが、年々拡大を続けている分野です。韓国の越境EC市場は、2017年の約20億米ドルから2022年には約45億米ドルにまで成長し、過去数年間で20%を超える年平均成長率を記録しました。これは国内流通チャネルの伸び率(約3.8%)を大きく上回る成長です。

また、別の調査では、2022年の越境EC取引額は4.7〜4.8億米ドル規模に達したと推定され、特にアメリカやヨーロッパ、日本、中国といった主要な海外市場からの商品購入が増えています。これは、各国の価格競争力や多様な商品へのニーズが高まっていることを反映しています。なお、韓国と米国の間では自由貿易協定(KORUS FTA)が締結されており、一定条件下での関税免除措置が適用されるなど、越境取引を後押しする制度面の追い風もあります。

韓国における越境ECの成長は、特に20代〜30代の若年層を中心に進んでいます。若年層はスマートフォンを通じたショッピングに慣れているだけでなく、海外ブランドの商品を手軽に取り寄せたいという消費行動の変化が顕著です。モバイルコマースやライブコマースといった新しい購入体験も広がっており、越境EC市場全体の需要を押し上げています。

韓国の越境EC市場は、物流や決済インフラの改善、ソーシャルコマースの拡大などを背景に、今後も成長が見込まれています。2025年以降も市場規模は拡大傾向で、国内ECのみならず越境取引のプレゼンスが高まることが予想されます。こうした成長環境は、日本企業にとっても大きなビジネスチャンスとなり得るため、慎重かつ戦略的な進出が求められます。

2. 韓国向け越境ECの特徴

韓国向け越境ECでは、日本国内と同じ運用では成果につながりにくく、現地の購買行動に合わせた戦略設計が重要です。韓国市場は大手ECモールからジャンル特化型サイトまで選択肢が多く、ポイントやクーポンなどのサービス設計も独自に発展しています。そのため、参入する会社は最新トレンドを踏まえ、販売チャネルやプロモーション方法を最適化する必要があります。

2-1. 総合モールと専門ECが共存する二層構造の市場

韓国のEC市場は、Coupang(クーパン)や11번가(11番街)などの大手総合ECモールが存在感を持つ一方で、特定ジャンルに特化した専門ECサイトも多く利用されている点が特徴です。総合モールは品揃えが豊富で配送スピードも速く、ユーザーが日常的に利用するインフラとして定着しています。そのため、越境ECで参入する場合も、まずは総合モールを通じて販売機会を広げる戦略が取りやすいでしょう。一方、化粧品・ファッション・健康食品などは、専門性の高いECサイトやブランド公式ストアでの購買が活発で、情報量や信頼性が重視されます。日本企業としては、自社商品の特性に応じて「総合モールで認知拡大」「専門ECでブランド価値を訴求」といった使い分けを行うことで、韓国市場での売上最大化につなげやすくなります。

2-2. 値引き前提の購買行動:ポイント・クーポン施策が標準

韓国では、ポイント付与やクーポン配布が日常的に行われており、消費者側も「割引があること」を前提に購入判断をする傾向があります。例えば、初回購入クーポン、期間限定の割引クーポン、会員ランクに応じたポイント還元などが一般的で、価格の魅力だけでなく“お得感”が購買意欲を左右します。越境ECで韓国市場に参入する場合、単に価格を安くするのではなく、クーポンやポイントを活用して購入のハードルを下げることが重要です。特に新規顧客の獲得フェーズでは、初回購入向けの割引や送料無料キャンペーンが有効になりやすいでしょう。ただし、過度な値引きは利益を圧迫し、ブランド価値を下げるリスクもあります。継続購入につなげるためには、クーポン施策とあわせてレビュー獲得やセット販売など、収益性を維持できる設計が欠かせません。

2-3. “動画で買う”が当たり前:ライブコマースの浸透

韓国ではライブコマースが広く普及しており、消費者が配信を見ながら商品を購入するスタイルが一般的になっています。ライブ配信では、商品の使用感やサイズ感、質感などがリアルに伝わるため、写真やテキストだけでは判断しづらい商品でも購入につながりやすい点がメリットです。さらに、配信中に限定クーポンが配布されたり、視聴者のコメントにリアルタイムで回答できたりするため、購買意欲を高める仕組みが整っています。越境ECにおいても、ライブコマースは「認知拡大」と「購入促進」を同時に実現できる手段として有効です。特に美容・食品・生活雑貨など、使い方の説明が重要な商材では相性が良いでしょう。一方で、配信内容の企画や出演者の手配、コメント対応など運用負荷もあるため、現地パートナーやインフルエンサーと連携して実施するなど、無理のない形で取り入れることが成功のポイントになります。

3. 韓国向け越境ECに参入するメリット

韓国は、人口約5000万人ほどと日本より人口規模が小さいものの、ECの浸透度や消費意欲が非常に高い国です。インターネット普及率が98%近く、スマートフォンを基軸としたネット利用が日常化している点は、越境EC市場の大きな基盤となっています。実際に韓国のEC化率は世界でも上位に位置しており、国内市場の成長とともに越境ECの取引も拡大しています。こうした背景は、海外進出を狙う日本企業にとって魅力的な成長機会を提供しています。

3-1. 日本企業にとって親和性の高い消費市場

韓国の消費者は、日本の商品に対して高い信頼感と好感を持っていることが大きなメリットです。特に「品質」「安全性」「デザイン性」を重視する消費傾向が強く、日本製の化粧品、アパレル、食品、生活雑貨などは高い人気を誇ります。これは、単純な価格競争ではなく、日本ブランドならではの付加価値を評価する消費行動によるものです。例えば化粧品や食品は、現地の競合と差別化しやすいカテゴリとして支持されており、ブランディング戦略次第で競争優位性を発揮しやすいというメリットがあります。

3-2. 地理的・文化的な近さによる配送メリット

韓国は日本から地理的に近い位置にあり、航空輸送を含む物流面でも比較的有利です。欧米などの遠隔地に比べて配送コストやリードタイムを抑えやすい点は、日本企業にとって越境EC参入の大きなメリットになります。加えて関税面では、米国との自由貿易協定のような二国間協定は日本と韓国については同様の枠組みはないものの、両国間の物流インフラや通関慣行が成熟しているため、越境取引の障壁が相対的に低いといえます。

3-3. 越境EC需要の拡大と多様化

韓国国内における消費者の越境EC利用は年々増加傾向にあり、海外から商品を購入する消費者の数が増えています。2022年には海外小売業者からのオンライン購入額が約47億米ドルに達しており、前年比で増加しています。これは、各国から商品を調達するニーズが高まっていることを示しています。韓国の消費者は、価格だけでなく商品バリエーションや専門性も重視するため、日本企業が「特定ジャンルの専門性」を打ち出すことで差別化を図りやすい構造となっています。

3-4. ブランド価値の浸透とロイヤルティ形成

日本の商品は、品質やブランドストーリーを好意的に受け入れられるケースが多く、長期的なファン形成につながりやすいというメリットがあります。これは単発の購入ではなく、リピート購入・口コミ評価の向上につながる可能性を高めます。特に美容・健康関連商品や高機能素材を持つ商品カテゴリでは、現地ユーザーの信頼を得ることでブランド価値の向上につながることが見込まれます。

3-5. 多様なプラットフォームを活用できる利点

韓国では、Coupangや11st、Gmarketといった国内主要ECモールが存在し、越境EC機能を持つプラットフォームも増加しています。こうしたECモールに出店することで、現地の集客力を活かしつつ参入できるため、初期のマーケティングコストを抑えながら販売機会を確保しやすくなります。現地プラットフォームは決済方法や配送ネットワークが整備されているため、越境ECとして必要な運用リソースの負担軽減にも寄与します。

このように、韓国向け越境ECは市場規模の大きさ、消費者ニーズとの親和性、物流面での優位性、ブランド価値の浸透といった複数のメリットを持つため、日本企業が海外進出を検討する際の有力な選択肢となります。ただし、競争環境や消費者対応など課題も存在するため、戦略的な準備が重要です。

4. 韓国向け越境ECを始め方

4-1. 自社ECサイトを開設する方法

韓国向け越境ECを自社主導で展開したい場合は、自社ECサイトを開設して販売する方法があります。自社ECの最大の特徴は、販売手数料や出店ルールに縛られにくく、ブランドの世界観や商品の魅力を自由に表現できる点です。例えば、商品ストーリーや使用方法、比較表、レビュー掲載などを工夫することで、価格競争に巻き込まれにくい販売設計が可能になります。一方で、集客は自社で行う必要があり、広告運用やSEO、SNS運用などマーケティング施策の設計が欠かせません。また、韓国ユーザー向けに決済手段(クレジットカード、簡易決済など)を整備し、送料・配送日数・返品条件を明確に提示することも重要です。運用体制を整えたうえで、自社ECを軸に長期的なファンづくりを目指す企業に向いている方法といえます。

4-2.既存のECモールを利用する方法

韓国向け越境ECをスピーディに始めたい場合は、既存のECモールを活用する方法が現実的です。モールにはすでに多くのユーザーが集まっているため、自社ECと比べて集客のハードルが低く、商品を露出しやすい点がメリットです。特に越境EC初心者の企業にとっては、まずモールでテスト販売を行い、売れ筋商品や価格帯、反応の良い訴求ポイントを把握できる点が大きな利点となります。一方で、モール側の手数料やキャンペーン参加条件、商品登録ルールなどの制約があるため、利益率の確保や運用負担とのバランスを考える必要があります。また、モール内では類似商品との比較がされやすく、レビューや配送品質が評価に直結しやすいため、商品ページの作り込みと顧客対応の体制を整えることが重要です。短期間で販売を開始し、実績を積み上げたい企業に適した方法です。

4-3. 韓国における代表的な越境ECモール

韓国向け越境ECでは、現地で利用者の多いECモールを選ぶことで、販売機会を広げやすくなります。代表例として、検索・情報収集の起点になりやすいNAVERスマートストアは、韓国ユーザーの日常導線に組み込まれている点が特徴です。Coupang(クーパン)は配送スピードや利便性を強みに急成長しており、価格だけでなく配送品質も重視される市場で存在感があります。Gmarket(Gマーケット)は新世界グループ運営の大手モールで、幅広いカテゴリを扱い、日本語の出品者向けサポートがあるため参入しやすい点が魅力です。11番街(11st)はSKテレコム系列で知名度が高く、越境ECプログラムを通じて出品から配送、カスタマー対応まで支援を受けられる場合があります。さらにQoo10(キューテン)はコスメやファッションに強く、日本の出店者も多いため、韓国向け販売の足掛かりとして活用しやすいモールです。商材やターゲットに応じて最適なモールを選ぶことが成功のポイントになります。

5. 韓国向け越境ECを始める際の注意点

5-1.検索エンジン最適化(SEO)は韓国市場仕様で行う

韓国ではGoogleではなく、NAVER(ネイバー)が主要な検索エンジンとして使われています。越境ECサイトを構築する際に、NAVER向けのSEO対策を行うことは非常に重要です。NAVERはGoogleと検索アルゴリズムが異なり、単に英語や日本語のキーワードを直訳して投入するだけでは最適な検索結果に表示されません。韓国語の自然なキーワードや、現地の検索ニーズに即した語彙・表現を調査し、それを商品タイトルや説明文、メタディスクリプションに反映させる必要があります。また、NAVERはQ&Aやブログ、口コミといった「コンテンツ型検索」が強いため、商品紹介だけでなく情報提供型のコンテンツを用意して評価・露出を高める工夫が求められます。たとえば、商品カテゴリごとの比較記事や使い方ガイド、韓国消費者のレビューを紹介する記事などを用意し、NAVER検索での上位表示を狙うことが、越境ECへの集客力向上につながります。

5-2.韓国での法人格の取得は越境ECにおける選択肢のひとつ

韓国向け越境ECを戦略的に強化する際には、韓国法人の取得を検討することが有効な場合があります。越境ECはそもそも国境を越える取引ですが、現地法人を設立することで、現地銀行口座の開設やVAT(付加価値税)登録が容易になり、決済インフラや物流契約がスムーズになるメリットがあります。また、韓国の消費者は法人格を持つ運営者に対して信頼感を抱く傾向があり、特に高額商品や長期保証が必要な製品の販売では安心感につながります。法人格を取得すると現地での契約締結や従業員の雇用、物流倉庫との直接契約などが可能になるため、越境ECの長期戦略を描く際の選択肢として有力です。ただし、法人設立には税務・法務・会計面の負担も伴うため、国際業務を取り扱う法律事務所や会計事務所などの専門家による支援を受けながら進めることが望ましいでしょう。

5-3. 品目が越境ECで販売可能かを事前に確認する

越境ECで韓国市場に商品を展開する際には、販売しようとする品目が現地で許可されているかを事前に確認することが不可欠です。韓国では医薬品・化粧品・医療機器・食品・健康食品など、カテゴリによって輸入規制や検査の要件が異なります。たとえば、化粧品の成分表示や広告コピーは韓国消費者向けに翻訳・表記ルールを整えるだけでなく、韓国食品医薬品安全処(MFDS)による登録や許認可が必要な場合があります。また、食品や健康食品では、原材料ごとに輸入許可や成分審査が必要なケースもあり、規制対応を怠ると税関での差止や罰則対象となることがあります。品目ごとに「越境ECで販売可能か」「追加の認可が必要か」「ラベル・成分表の表示義務があるか」を早い段階で整理し、適切な申請手続きを行うことが、越境EC成功の基盤になります。必要であれば、現地代理人制度を活用して管理・対応を進めることも有効です。

6.越境EC事業に関するお悩みは専門家にご相談ください

韓国向けの越境ECは、日本にいながら韓国の消費者へ商品を届けることができる魅力的なビジネスモデルです。韓国はEC利用が日常化しており、スマートフォンを通じた購買行動も活発なため、日本企業にとって比較的参入しやすい市場といえます。さらに、日本製品に対する関心も高く、コスメや日用品、食品などはニーズを獲得しやすい分野です。一方で、韓国特有の購買文化や競争環境、法規制への対応など、シェアを獲得するために事前に整理すべきポイントも少なくありません。

実務面では、「NAVERを前提とした集客設計が分からない」「モール出店と自社ECのどちらが適切か判断できない」「販売する品目が越境ECで問題ないか不安」といった課題に直面するケースが多く見られます。特に、化粧品や食品などは輸入規制や表示ルールが関係することもあり、準備不足のまま販売を開始すると、通関トラブルや顧客対応の混乱につながる可能性があります。

こうしたリスクを抑え、韓国向け越境ECを安定的に成長させるためには、現地の商習慣や規制、物流・決済に精通した専門家のサポートを活用することが有効です。例えば、販売チャネルの選定、商品ページや表示ルールの整備、トラブル発生時の対応方針の整理などを専門家と連携して進めることで、無理のない運営体制を構築しやすくなります。韓国市場は大きなチャンスがある一方、成功の鍵は「適切な準備」と「正しい情報に基づく判断」にあります。もし不安や課題を抱えている場合は、無理に独力で対応しようとせず、専門家の知見を活用することで、より安心かつ確実に事業を成長させることができます。

WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
また、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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