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越境EC参入事例
2026.06.17

【弁護士解説】越境ECで使える補助金・助成金の活用法と落とし穴とは?法的リスクと注意点を解説

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企業のEC担当者・海外事業責任者の皆様は、越境EC向けの助成金について次のようなお悩みや疑問をお持ちではないでしょうか。近年では、ECサイト構築やITサービス導入を支援対象とする制度も増えており、越境EC導入時のコスト負担軽減策として注目されています。

越境ECではどのような助成金が活用できますか?
越境ECでは、JETROや自治体による海外販路開拓支援、ECサイト構築支援、海外広告支援、人材育成支援など、さまざまな助成金・補助金制度を活用できる可能性があります。特に、海外向けECサイト構築、多言語対応、SNS広告、海外展示会出展などは支援対象となることが多く、初期投資負担を抑えながら海外展開を進めやすくなります。また、近年はEC運営やデジタル化を支援するITサービス導入費用が対象となるケースもあります。

助成金を使う際に最も重要な注意点は何ですか?
最も重要なのは、「助成金は公的資金であり、厳格なルールのもとで運用しなければならない」という点です。対象経費、契約時期、実績報告、証憑管理などには細かな条件があり、制度を十分に理解せず利用すると、返還請求や不正受給認定につながるリスクがあります。特に越境ECでは、海外事業者との契約や海外広告費など、国内事業より複雑な論点が多く存在します。

越境EC助成金でトラブルを防ぐにはどうすればよいですか?
トラブルを防ぐためには、申請前の段階から、対象経費や契約内容を整理し、証憑管理や実績報告に対応できる体制を整えておくことが重要です。また、海外制作会社・広告代理店との契約内容、知的財産権、広告規制なども確認しながら進める必要があります。越境EC特有のリスクを踏まえ、制度要件と海外取引実務の両方を理解した専門家へ事前に相談することが有効です。

本記事では、越境ECで活用できる助成金・補助金の種類や特徴を整理したうえで、企業が陥りやすい失敗パターンや、見落とされやすい法的注意点について、越境EC専門の企業弁護士の視点から解説します。

1. はじめに|越境ECの立ち上げ・拡大に欠かせない助成金とその責任

「当社でも越境ECを始めたいのですが、サイト構築や海外広告にかなり費用がかかりそうです。補助金・助成金を活用すれば、海外展開の負担を減らせるのでしょうか?」

K海外営業部長
K海外営業部長
小野弁護士
小野弁護士

「はい、JETROや自治体の制度を活用すれば、越境ECサイト構築費や海外販促費などの支援を受けられる可能性があります。ただし、助成金は“公金”ですので、対象経費や報告義務など厳格なルールもあります。制度を正しく理解したうえで活用することが重要です。」

本項目では、越境ECにおける補助金・助成金活用のメリットと、公金を受給する企業として押さえておくべき責任について解説します。

1-1. 越境ECの初期ハードルを下げる補助金・助成金の強力なメリット

越境ECは、日本国内にいながら海外市場へ商品を販売できる有力なビジネスモデルですが、実際に事業を立ち上げる際にはさまざまな初期コストが発生します。たとえば、多言語対応のECサイト構築、海外向け広告運用、現地市場調査、物流体制の整備、海外展示会への出展などには相応の費用がかかります。特に中小企業にとっては、こうした初期投資が大きな負担となり、「海外展開に興味はあるが踏み出せない」というケースも少なくありません。

そのような場面で活用できるのが、国や自治体、公的機関が提供する助成金・補助金制度です。越境EC関連の支援制度では、海外販路開拓、デジタル化、広告宣伝、人材育成などを対象として、費用の一部が支援される場合があります。これにより、企業は資金負担を抑えながら海外展開を始めやすくなります。

また、近年ではJETROや自治体による越境EC支援も拡大しており、ECモール出店支援、翻訳支援、海外向けプロモーション支援など、多様な制度が用意されています。補助金・助成金をうまく活用することで、単なるコスト削減にとどまらず、海外展開のスピードを加速させることも可能になります。

1-2. 公金を受給する企業の責任とは?知っておくべき厳格なルール

もっとも、補助金・助成金は「もらえるお金」ではなく、公的資金を活用する制度である以上、企業側にも厳格なルール遵守が求められます。助成金や補助金には、対象経費、申請手続、実施期間、報告義務など細かな条件が定められており、これらを十分に理解しないまま利用すると、後に返還請求や不正受給認定につながるリスクがあります。

たとえば、「助成対象外の費用を計上していた」「実際には行っていない広告施策を報告した」「発注先との関係性が問題視された」といったケースでは、補助金・助成金の返還だけでなく、企業名公表などの重大な不利益が生じることがあります。特に越境ECでは、海外企業との契約や海外広告運用が関係するため、証憑管理や契約内容の整理が不十分になりやすい点に注意が必要です。

また、補助金・助成金は採択後も自由に使えるわけではなく、実施内容や費用の使途について、後日詳細な実績報告を求められることがあります。そのため、越境EC事業では「補助金・助成金を獲得すること」だけでなく、「適切に運用し、説明責任を果たせる体制を整えること」が重要です。公金を受給する企業としての責任を理解し、法務・会計・実務の観点から適切に管理することが、助成金活用を成功させる前提となります。

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2. 越境ECで活用できる主な補助金・助成金の種類と特徴

「越境ECで使える助成金には、どのような種類があるのでしょうか?サイト制作以外にも利用できる制度はありますか?また、助成額や補助率はどのくらいなのでしょうか。」

K海外営業部長
K海外営業部長
小野弁護士
小野弁護士

「はい。海外販路開拓向けの補助金だけでなく、人材育成向け助成金などもあります。たとえば、EC担当者向けの研修費用が対象となるケースもあり、目的によって使い分けることが重要です。制度によっては、上限額が数十万〜数百万規模となるものもあります。また、申請時には事業計画書類や見積書などの提出が必要になることが多いため、事前準備も重要です。」

本項目では、越境ECで活用される代表的な助成金・補助金制度の種類や特徴、それぞれの違いについて解説します。

2-1. 自治体や公的機関(JETRO等)が提供する海外展開・販路開拓のための補助金・助成金

越境ECを活用して海外市場へ進出する企業向けに、国や自治体、公的機関ではさまざまな海外展開支援制度を提供しています。代表的な支援機関として知られているのが、日本貿易振興機構(JETRO)です。JETROでは、海外ECモールへの出店支援、海外バイヤーとのマッチング、現地市場調査、翻訳支援、プロモーション支援など、越境ECに関連する幅広いサポートを実施しています。

また、自治体によっては、中小企業向けに「海外販路開拓助成金」「海外展開支援事業」などの名称で、越境ECサイト構築費、広告宣伝費、翻訳費、展示会出展費用などを補助対象としている場合があります。たとえば、Shopifyなどを利用した多言語ECサイト構築費用や、海外SNS広告費、ECモール登録費用などが対象となるケースもあります。

これらの助成金・補助金は、海外市場への販路開拓を後押しすることを目的としているため、「新規性」「市場性」「継続性」などが審査対象となることが一般的です。また、申請には事業計画書や見積書、実施スケジュールなどの提出が必要になることが多く、採択後も実績報告や証憑管理が求められます。そのため、単に制度を探すだけでなく、「自社の越境EC施策がどの制度と相性が良いか」を整理したうえで活用することが重要です。

2-2. 越境EC担当者の育成に使える「人材開発系の助成金(厚労省系)」

越境ECでは、サイト構築や広告運用だけでなく、海外顧客対応、デジタルマーケティング、海外物流、SNS運用などを担う人材の育成も重要な課題となります。しかし、海外ECに対応できる人材を社内で育成するには、研修費用や教育コストがかかるため、中小企業にとって大きな負担となる場合があります。

そのような場面で活用できるのが、厚生労働省系の「人材開発支援助成金」などの制度です。これらは、従業員に対して専門知識やスキル習得のための研修を実施した企業に対し、研修費用や研修期間中の賃金の一部を助成する制度です。たとえば、越境EC担当者向けに、海外マーケティング、デジタル広告運用、英語対応、EC運営研修などを実施する場合、条件を満たせば助成対象となる可能性があります。

また、近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)推進やリスキリング支援の流れもあり、EC運営やデジタル人材育成に関連する研修支援制度が拡大しています。越境ECでは、単にサイトを作るだけでは継続的な成果は出にくく、運営体制そのものの強化が重要です。そのため、助成金を「設備投資」だけでなく、「人材投資」に活用する視点も重要になります。

もっとも、人材開発系助成金では、研修内容、受講記録、出勤管理、カリキュラムなどについて細かな管理が求められることが多いため、制度要件を確認しながら適切に運用する必要があります。

2-3. 【注意】「補助金」と「助成金」の違い|越境ECにおける使い分けの基本

越境EC支援制度を調べていると、「補助金」と「助成金」という言葉が混在していることがあります。しかし、両者は似ているようで制度の性質が異なり、越境ECでは目的に応じて使い分けることが重要です。

一般的に、「補助金」は国や自治体が政策目的に沿った事業を支援する制度であり、採択審査があります。たとえば、海外販路開拓やDX推進を目的とした補助金では、申請企業の事業計画や成長性が評価され、採択された企業のみが利用できます。代表例としては、「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」などがあり、越境ECサイト構築費や広告費が対象になるケースがあります。

一方、「助成金」は、一定の条件を満たせば受給できる制度が多く、特に厚生労働省系の制度では「雇用」や「人材育成」が中心となります。たとえば、越境EC担当者向け研修を実施した場合に、人材開発支援助成金が活用できる可能性があります。

越境ECでは、「ECサイト構築や海外広告」には補助金、「担当者育成」には助成金、といった形で役割を分けて活用することが有効です。ただし、どちらも公的資金である以上、対象経費、実施期間、証憑管理などに厳格なルールがあります。制度名だけで判断するのではなく、「何の費用に使いたいのか」「どのような事業を行うのか」を整理したうえで、適切な制度を選択することが重要です。

3. 越境ECの助成金活用における企業の典型的な失敗パターン

「補助金・助成金を使って越境ECを始める企業は多いと思いますが、実際にはどのような失敗が多いのでしょうか?業種によって注意点も変わるのでしょうか。」

K海外営業部長
K海外営業部長
小野弁護士
小野弁護士

「よくあるのは、“制度理解不足”によるトラブルです。たとえば、対象外経費を計上してしまったり、実績報告に必要な証憑が不足していたりするケースがあります。海外取引が絡む分、国内事業より注意点が多いのです。また、食品、化粧品、ITサービスなど、業種によって必要となる契約管理や証明資料も異なります。」

本項目では、越境EC助成金の活用で企業が陥りやすい典型的な失敗パターンと、その背景にある問題点について解説します。

越境EC向けの助成金・補助金は、海外展開の大きな後押しとなる一方、制度の理解不足によってトラブルに発展するケースも少なくありません。特に多いのが、「採択されれば自由に使える」と誤解してしまうパターンです。実際には、補助・助成対象となる経費や実施期間、契約方法などには細かな条件があり、それを満たさなければ支給対象外となる可能性があります。

たとえば、申請前に契約・発注を行ってしまい、対象経費として認められなかったケースや、海外広告費の証憑が不十分で実績報告時に問題となるケースがあります。また、越境ECでは海外事業者との契約や海外SNS広告が関係するため、請求書や契約書の形式が日本の制度要件に適合せず、後から説明を求められることもあります。近年では、海外向けマーケティング支援サービスや生産性向上を目的としたシステム導入費用が助成対象となるケースもあるため、対象範囲を正しく理解することが重要です。

さらに、「サイト構築だけ行い、その後の運営計画が曖昧だった」「市場調査を十分に行わず補助金頼みで参入した」といったケースでは、事業自体が継続できず、結果として投資回収に失敗することもあります。補助金・助成金はあくまで事業を支援する制度であり、「補助金・助成金を獲得すること」が目的化してしまうと、本来の越境EC戦略が不十分になるリスクがあります。実際に、助成金制度の内容だけを紹介する情報を参考に申請を進めた結果、制度要件を十分に理解できていなかったというケースも少なくありません。

越境ECでは、制度要件だけでなく、契約管理、証憑管理、海外取引実務まで含めた準備が重要です。単なる資金調達としてではなく、「継続できる海外事業を構築するための支援制度」として活用する視点が求められます。

4. 弁護士が解説!越境EC助成金で絶対に見落としてはいけない法的注意

「助成金を利用する場合、特に法務面で気を付けるべきポイントはありますか?」

K海外営業部長
K海外営業部長
小野弁護士
小野弁護士

「はい。海外制作会社との契約内容や、広告費・SNS施策の証憑管理などは特に重要です。また、不適切な申請や報告は返還請求や不正受給認定につながるリスクもあります。」

本項目では、越境EC助成金を利用する際に企業が見落としやすい法的・契約上の注意点について解説します。

越境EC関連の助成金では、単に「申請が通るか」だけでなく、その後の運用や報告義務まで含めて適法に管理することが重要です。特に見落とされやすいのが、「どの契約・支出が本当に助成対象となるのか」という点です。たとえば、海外向けECサイト制作や広告運用を外部会社へ委託する場合でも、契約内容や発注時期によっては助成対象外となる可能性があります。

また、助成金では「相見積り」や「適正価格」での発注が求められることが多く、知人会社や関連会社への発注が問題視されるケースもあります。さらに、海外インフルエンサー施策やSNS広告では、実際にどの広告が実施されたのか、どの費用が助成対象なのかを証明できる資料を残しておく必要があります。

法務面では、海外企業との契約条件も重要です。たとえば、海外制作会社との契約内容が不明確で、成果物の権利帰属や納品範囲に問題が生じるケースがあります。また、JETRO等の支援制度では、事業終了後の実績報告や監査対応が求められる場合もあり、契約書・請求書・支払証憑を適切に保管しておかなければなりません。

さらに、不適切な申請や虚偽報告があった場合には、助成金返還だけでなく、不正受給認定や企業名公表につながるリスクもあります。越境ECでは海外取引特有の複雑さがあるため、制度要件・契約管理・証憑管理を一体で整理することが重要です。

5. 越境ECに関する補助金・助成金について越境EC専門の弁護士へ相談すべき理由

「補助金・助成金の申請はコンサル会社に相談するイメージがありますが、弁護士に相談するメリットはあるのでしょうか?」

K海外営業部長
K海外営業部長
小野弁護士
小野弁護士

「越境ECでは、補助金・助成金制度だけでなく、海外契約、広告規制、個人情報保護なども関係します。弁護士であれば、制度要件だけでなく、海外取引全体の法的リスクまで含めて整理しながら支援できます。」

本項目では、越境EC助成金について専門の弁護士へ相談するメリットや、実務上どのような支援が受けられるのかについて解説します。

越境EC向け助成金では、「申請書を書けば終わり」ではなく、事業計画、契約内容、証憑管理、海外取引実務まで含めて整理する必要があります。しかし、実際には「どの費用が対象になるのか分からない」「海外事業者との契約内容に不安がある」「実績報告にどの資料が必要なのか判断できない」といった悩みを抱える企業は少なくありません。

越境EC専門の弁護士に相談することで、単なる法務相談だけでなく、「助成金制度を踏まえた事業設計」そのものを整理しやすくなります。たとえば、越境ECサイト構築、海外広告運用、物流契約、インフルエンサー施策などについて、助成対象となり得る契約形態や必要な証憑を事前に確認し、後から問題が発生しにくい形で進めることが可能です。

また、越境ECでは海外企業との契約や個人情報保護、広告規制など、通常の国内事業とは異なる法的論点も関係します。助成金制度だけを理解していても、海外取引に関するリスクを見落としてしまうケースがあります。そのため、越境EC実務と助成金制度の両方を理解した専門家の支援を受けることが重要です。

さらに、補助金・助成金採択後も、契約書管理、実績報告、監査対応など継続的な対応が必要になる場合があります。越境EC専門の弁護士へ早い段階から相談することで、制度違反や返還リスクを防ぎながら、安心して海外展開を進めやすくなります

6. 弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所が提供するサポート

弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所では、多くの企業様へのご支援を通じて、越境EC・海外向けECについての課題を解決してきた実績があります。

  • 越境ECを始めるにあたってのリスク整理
  • モール規約、利用規約の確認
  • 海外販売における法規制の基本整理
  • トラブル発生時の初動対応の方向性

といった内容について、現状の課題を簡潔に共有いただければ、対応の方向性をご案内いたします。

当事務所では、問題解決に向けてスピード感を重視する企業の皆さまにご対応させていただきたく、「メールでスピード相談」をご提供しています。
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※本稿の記載内容は、執筆時点の法令・情報等に基づいています。
本稿は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。正確な情報を掲載するよう努めておりますが、内容について保証するものではありません。

WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
また、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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代表弁護士 小野智博(東京弁護士会所属)
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