海外向けECサイトで注文を受け、商品も発送したのに、後からカード決済が取り消されることがあるそうですね。すでに商品が海外へ届いていたら、代金はどうなるのでしょうか。
チャージバックが認められると、売上代金を回収できなくなる場合があります。海外発送では商品を取り戻すのも簡単ではありません。決済時に不正を見つける対策はもちろん、問題が起きたときに自社がどこまで対応できるのか、契約内容も確認しておきたいですね。
越境ECサイトに海外からの注文が入り、決済も無事に完了。ところが、商品を発送してしばらく経った頃に、決済代行会社からチャージバックの通知が届く。
EC事業者にとって、こうした事態は決して軽視できません。売上が取り消されても、すでに発送した商品や送料が戻ってくるとは限らないからです。
企業のEC担当者・海外事業責任者の皆様からすると、そもそもなぜ決済済みの売上が取り消されるのか、疑問に思うのではないでしょうか。
越境ECでは、どのような場合にチャージバックが発生しますか?
代表的なのは、盗用されたクレジットカード情報による注文です。正規のカード会員が利用明細を確認し、身に覚えのない請求をカード発行会社へ申告すると、チャージバックの手続きにつながることがあります。
それ以外にも、商品が届かなかった場合や、購入者が返品・返金をめぐって異議を申し立てた場合など、発生する理由はさまざまです。
クレジットカードの不正利用を防ぐには、どのような方法がありますか?
3Dセキュア2.0による本人認証や、不正検知システムの活用が代表的です。さらに、高額注文や短時間の連続決済など、通常とは異なる注文を担当者が確認する方法もあります。
ただし、不審な注文をすべてキャンセルする運用では、正規の購入者まで失いかねません。取引の傾向を見ながら、審査する基準を決めていくことになります。
チャージバックが発生した場合、法律面ではどのような備えが役立ちますか?
不正が疑われる注文に対し、どの段階で受付を拒否したり、契約を解除したりできるのか。こうした条件を利用規約で定めておくことが対策の一つです。
決済代行会社との契約内容も確認しておきましょう。売上代金を返還する条件や、補償が適用される範囲はサービスによって異なります。
また、注文情報や配送記録などを残しておけば、チャージバックに対する異議申し立ての際に役立つことがあります。
本記事では、越境ECにおけるクレジットカード不正利用とチャージバックの仕組みを整理したうえで、3Dセキュア2.0やAIによる不正検知システム、目視審査などの実務的な対策、利用規約や加盟店契約の見直し、チャージバックへの異議申し立てに備えた証拠の保存方法について、EC専門の企業弁護士の視点からわかりやすく解説します。
目次
1.はじめに:越境EC事業者を狙う「クレジットカード不正利用」の脅威
当社でも海外からの注文が増えています。決済が承認されていれば、少なくともカードの不正利用については問題ないと思っていたのですが……。
決済が承認されたことと、正規のカード会員が購入したことは必ずしも同じではありません。不正利用が後から発覚するケースもあります。
そうなると、発送前の確認が大事になってきますね。
そうですね。特に高額商品や海外発送では、チャージバックが発生した際の損失も大きくなりがちです。不正注文を見つけたときに誰が判断し、発送を止めるのかまで決めておくとよいでしょう。
越境ECでは、日本国内の取引とは異なる国や地域から注文を受け付けます。海外の顧客へ販路を広げられる一方、クレジットカード情報の盗用による不正注文が混ざる可能性にも目を向けなければなりません。
例えば、高額な商品が複数注文され、カード決済も問題なく完了したとします。事業者は通常どおり商品を発送したものの、後日、カード会員が不正利用を申告。チャージバックが認められれば、売上代金が取り消される場合があります。
このとき、商品がすでに海外の配送先へ届いていれば、回収は容易ではありません。国際送料などの費用も発生しているため、単なる売上の取消しでは済まないことがあります。
注意したいのは、不正なカード決済に限った話ではないという点です。商品未着や返金をめぐる認識の違いも、チャージバックの原因となり得ます。
決済サービスの不正対策機能を利用するとともに、注文確認から発送、配送記録の管理まで、現在の業務に見直すべき点がないか確認しておきたいところです。





