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越境ECで海外進出・海外展開を目指す企業をサポートする 越境ECメディア

越境EC参入事例
2024.07.24

越境ECにおけるビジネスモデルとは?取り組むべき企業の特徴を含めて解説

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1. 越境EC事業の基礎知識

1-1. 越境ECとは

越境EC(電子商取引)とは、インターネットを通じて国境を越えて商品やサービスを販売するビジネスモデルです。このモデルは、技術の進歩とグローバル化の波に乗り、世界中の市場へ簡単にアクセスできる手段を提供しています。特に小規模ビジネスオーナーにとって、越境ECは地理的制約を超え、新たな顧客層にリーチする大きなチャンスを意味します。

越境ECの最大の魅力の一つは、物理的な店舗を必要とせずに海外市場での販売が可能であることです。これにより、初期投資を抑えつつも、世界中どこへでも商品を展開することができます。店舗運営にかかる固定費用を削減し、それを商品開発やマーケティング活動に再投資することが可能です。

また、国内市場に限界を感じ始めた事業者にとって、越境ECは新たな成長機会を提供します。特に人口が多く、購買力が高い国への進出は、売上の大幅な増加を期待できるでしょう。異文化間のニーズを理解し、それに応じた商品提供ができれば、ブランドの国際的な評価も高まります。日本製品はその品質の高さから国際的に高い評価を受けており、特にアジア圏内では「メイド・イン・ジャパン」は信頼の証とされています。このブランド力を活かすことで、海外の消費者を惹きつけ、競争が激しい市場でも一定の集客効果を期待できます。

最近では、SNSや動画配信を活用したプロモーションの手法も多様化しており、商品の魅力を効果的に紹介することで、越境ECの成果をさらに高めることが可能になっています。これにより、現地の消費者との接点を増やし、ブランドの認知度や信頼性を構築する取り組みが加速しています。

日本を含む多くの国が越境ECの拡大を国策として推進しています。政府や関連機関による支援策が整備されているため、小規模な事業者でも海外市場への進出がしやすくなっています。税制の優遇措置、情報提供、具体的な市場開拓支援など、多岐にわたる支援が用意されており、これを利用することで、海外展開のハードルが低くなります。

このように、越境ECは国内市場の壁を超え、世界へと事業を拡大するための有効な手段です。本記事では、越境ECを展開する際の準備事項や注意点について詳しく掘り下げていきます。

1-2. 越境ECの市場規模

近年、越境EC(国境を越えた電子商取引)の市場は着実に拡大しています。とりわけ日本・米国・中国の3カ国間における越境EC取引は、アジア太平洋地域および世界全体のEC市場を牽引する存在となっています。経済産業省の「令和4年度 電子商取引に関する市場調査報告書」によれば、日本の消費者が米国および中国の事業者から越境ECで購入した額は3,954億円に達し、前年から6.1%の増加を示しています。日本国内における海外商品の需要は依然として高く、今後も安定した成長が見込まれます。

一方で、米国の消費者による日本および中国の事業者からの越境EC購入額は2兆2,111億円となり、前年比8.3%の増加と堅調な拡大を見せています。特に米国市場では、日本製品に対する品質への信頼や「Made in Japan」ブランドの価値が高く評価されており、日本企業にとっては極めて魅力的な市場と言えるでしょう。

さらに注目すべきは中国市場の動向です。中国の消費者による日本・米国の事業者からの購入額は5兆68億円に達し、前年比6.2%の成長を記録しました。中国では日本製の家電製品や衛生用品への需要が根強く、安定した人気を維持しています。

これらの3カ国に限定された統計ではあるものの、越境EC市場の成長トレンドを示す重要な指標となっています。加えて、台湾・タイ・インドネシアといった東南アジア地域では、日本製の医薬品や化粧品、アニメ・ゲームといった「クールジャパン」関連商品が注目されており、今後はさらなる市場拡大が期待されます。

世界中で「日本製品」へのニーズが高まりつつある今、越境ECは日本企業にとって国際市場に進出する強力な手段となりつつあります。特に中小企業にとっては、オンラインで海外の顧客に直接アクセスできる点が大きな魅力です。今後は、日本・米国・中国以外の地域への展開も視野に入れた、グローバルな越境EC戦略がより重要になってくるでしょう。

1-3. 越境EC事業が拡大している理由

越境ECの市場が拡大を続けている背景には、いくつかの重要な社会的・経済的要因が存在します。まず第一に挙げられるのは、インターネットインフラの世界的な普及です。高速通信網やスマートフォンの浸透により、国境を越えて情報や商品をスムーズにやり取りできる環境が整いました。これにより、海外に住む消費者が日本の商品を容易に注文し、自国で受け取るという流れが一般的になってきています。
特に、インバウンド観光の増加によって生まれた「リピート需要」も越境EC拡大の大きな原動力となっています。訪日外国人が旅行中に購入した商品を気に入り、帰国後も継続して購入するというケースが増加しており、その手段として越境ECが活用されています。旅行先での体験がそのまま越境購買へと繋がる、非常に有望な消費パターンです。

一方で、日本国内では少子高齢化が進み、将来的な消費人口の減少が避けられない状況にあります。国内市場だけに依存したビジネスモデルでは成長が頭打ちになりやすく、販路を海外に広げる必要性が高まっているのです。特に中小企業や地方の事業者にとって、国内市場の縮小は大きな課題となっており、越境ECを通じて新たな販路を開拓する動きが加速しています。

また、越境ECは従来の海外展開に比べて初期コストを大幅に抑えられる点も魅力です。現地に実店舗やオフィスを構える必要がなく、オンライン上で出店・販売・決済まで完結できるため、初めての海外進出でも比較的リスクを抑えてチャレンジすることが可能です。プラットフォーム型の越境ECサービスを活用すれば、物流や顧客対応といった煩雑な業務もアウトソーシングできるため、少人数でも運営可能という利点があります。

このように、越境EC事業が拡大しているのは、インフラの進化、観光客のリピーター需要、国内市場の縮小、そして海外展開にかかるコストの低減といった複数の要因が重なった結果といえます。今後もこれらの流れは続くと予想され、越境ECの存在感はさらに増していくでしょう。

1-4. 越境EC事業を行うメリット

越境ECに取り組むことは、日本企業にとって多くのメリットをもたらします。まず注目すべきは、競合の少ない海外市場でビジネスを展開できる点です。国内のEC市場は成熟しており、価格競争やブランドの差別化に苦労するケースが少なくありません。自社商品が類似製品との比較にさらされ、値下げ競争に巻き込まれることもしばしばです。しかし、海外ではまだ日本企業の参入が限定的な地域も多く、差別化しやすい環境にあります。現地にない日本独自の価値を打ち出すことで、新たな顧客層を開拓しやすくなります。

さらに、越境ECでは実店舗を構える必要がないため、出店や運営にかかるコストと手間を大幅に抑えることができます。通常、海外にリアル店舗を展開するには、現地調査や物件契約、人的配置など多くの工程が伴い、初期投資も高額になります。それに対し、ECプラットフォームを活用すれば、インターネット上に仮想店舗を開設するだけで済み、比較的手軽に海外展開をスタートできます。

また、日本製品に対する海外からの評価は非常に高く、品質やデザイン、安全性に魅力を感じる消費者が多く存在します。近年では訪日観光客の”爆買い”が話題となりましたが、これは日本製品の価値が世界中で認識されている証拠ともいえるでしょう。こうした日本ブランドへの信頼を活かし、現地にいながら日本製品を購入できる環境を整えることは、顧客にとっても大きな利便性となります。

越境ECの最大の魅力は、国内では到達できない巨大なマーケットにアプローチできる点です。日本国内に比べて人口が何倍にもなる国々を対象に商品を販売できることは、ビジネスの成長余地を大きく広げるチャンスとなります。特に、国内市場で売上に伸び悩んでいる企業にとっては、新たな収益源として大きな可能性を秘めています。

このように、競合の少なさ、初期コストの低さ、ブランド力の発揮、そして広大なマーケットへの進出といったメリットは、越境ECを成長戦略の中核に据えるに足る理由となるでしょう。

1-5. 越境EC事業を行うデメリット

越境ECは多くの可能性を秘めている一方で、慎重に検討すべき課題も存在します。特にコスト面と法規制への対応には注意が必要です。

まず、輸送にかかるコストが国内販売と比べて大きく膨らむ点が挙げられます。海外への配送は距離が長くなる分、送料が高額になりやすく、加えて関税や輸入手数料などの追加費用も発生します。これらのコストが商品の販売価格に反映されることで、価格競争力が低下し、購入をためらう消費者が出てくる可能性も否めません。また、配送期間が長くなることで紛失や破損といったリスクも増大します。トラブルを未然に防ぐためにも、信頼性の高い物流パートナーを選定することが求められます。

さらに、越境ECでは、販売先となる国や地域ごとに異なる規制への対応も不可欠です。たとえば、EUではGDPR(一般データ保護規則)が厳格に適用されており、消費者の個人情報を取り扱う際には細心の注意が必要です。対応を怠れば、行政処分や高額な制裁金の対象になる恐れもあります。

販売する商品のカテゴリーによっては、追加の規制や認可手続きが必要になる場合もあります。たとえば、医薬品や化粧品、健康食品などは、アメリカではFDA(米国食品医薬品局)への登録が求められ、中国ではNMPA(中国国家薬品監督管理局)による認証が必要です。これらの手続きは煩雑で時間もかかるため、十分な下調べと準備が不可欠です。

また、販売可能な商品自体が国ごとに異なるため、自社の商品がターゲット国で合法的に販売可能かどうかを確認する必要があります。たとえ商品自体に問題がなくとも、表示方法やパッケージの言語表記などが法令に準拠していなければ、通関で止められる可能性もあります。

このように、越境ECは単に商品の販売先を海外に広げるだけでなく、それぞれの国の制度や文化に適応した運営が求められます。ビジネスチャンスが広がる反面、慎重な準備と継続的なリスク管理が欠かせないのが現実です。

2. 越境EC事業の展開

2-1. 越境EC展開の際の準備事項

越境EC事業を成功させるためには、事前の準備が不可欠です。以下に具体的なステップをまとめます。

市場調査
市場調査は、ターゲットとする海外市場の消費者ニーズや競合状況を理解するために必要です。この調査を通じて、どの国や地域に進出するか、どのような商品が求められているかが明確になります。また、文化的な違いや現地の法規制にも注意を払い、商品の受け入れやすさを検証することが求められます。

ECプラットフォームの選定
ECプラットフォームの選択は、事業の規模や管理能力に応じて行うべきです。モール型プラットフォームは、アマゾンやイーベイなど大手が運営するシステムを利用して手軽に販売を開始できますが、手数料や競合との直接的な競争が課題となります。一方、自社型プラットフォームは初期投資や運用コストが高くなりますが、ブランドイメージを維持しやすく、顧客データの一覧管理も容易です。

商品登録
商品情報の登録は、販売成果に直結する重要なプロセスです。商品の写真は高品質で魅力的なものを用意し、商品説明や仕様は簡潔かつ正確に記載します。これらの情報は、各国の言語に翻訳し、文化的なニュアンスも考慮に入れる必要があります。価格設定は、競争力を持たせつつも、利益を確保できる水準に設定します。

国際配送と物流システム
国際配送と物流は、越境ECの成功に不可欠です。信頼できる物流パートナーを選定し、効率的な在庫管理と追跡システムを構築することが重要です。これにより、商品が確実に顧客に届けられ、運送中のトラブルを最小限に抑えることが可能となります。

プロモーション
効果的なプロモーション戦略は、ブランド認知度の向上と売上増加に直結します。SNSマーケティング、インフルエンサーとのコラボレーション、現地のイベントへの参加など、多角的なアプローチを計画します。また、地域に根ざしたコンテンツを提供することで、現地の顧客とのつながりを強化できます。

カスタマーサポート
国際市場においては、多言語に対応したカスタマーサポートが必須です。言語だけでなく、文化的な違いを理解した対応が求められます。返品や返金ポリシーを明確にし、顧客が安心して購入できる体制を整えることが大切です。

これらの準備を整えることにより、越境EC事業の基盤を固め、国際市場での成功を目指すことができます。

2-2. 越境EC展開の際の注意点

越境EC事業を始める際には、多くの利点がある一方で、注意すべき点も多く存在します。成功へ導くためには、これらの課題に適切に対処することが重要となります。以下に主要な注意点を説明します。

配送料や手数料の透明性
配送料や手数料は、顧客の購買意欲に直接影響を及ぼす要因です。国際的な販売においては、これらのコストが高くなる傾向にあるため、事前に顧客に明確に伝えることが不可欠です。予期せぬ追加費用は顧客満足度を低下させ、リピート購入の障壁となり得ます。したがって、チェックアウト時にはすべての費用を表示し、顧客が全体の費用を理解できるようにするとよいでしょう。

販売先の国の法律と規制の遵守
各国には独自の法律や規制があり、これを理解し遵守することは越境ECを行う上で避けて通れない課題です。特に、消費者保護法、データ保護法、輸入規制など、事業を行う国ごとの法的要件を把握しておくことが必要です。違反すると罰金や販売禁止などのペナルティが課せられる場合があるため、法的な側面からのリスク管理が求められます。

関税と国際的な貿易規制
商品を国際的に販売する場合、関税が適用されることが一般的です。関税は商品の種類や価値、輸入国の政策によって徴収される対象や額が異なります。これらの情報を正確に把握し、適切に顧客に伝えることが重要です。また、特定の商品には輸出入禁止や数量制限を設けている国もあり、これらの規制に違反しないよう注意が必要です。

物流と発送の効率化
国際配送は複雑で、遅延や紛失のリスクが伴います。効率的な物流パートナーとの連携と、透明な発送プロセスの構築が必要です。また、追跡システムを利用して、顧客が自らの注文状況をリアルタイムで確認できるようにすることが望ましいです。

文化的違いへの配慮
異なる文化間でのビジネス展開では、文化的違いへの理解と尊重が必須です。マーケティングメッセージや商品のプレゼンテーションにおいて、現地の文化や慣習に敏感であることが重要です。文化的ミスマッチは、ブランドイメージの損傷につながりかねません。

これらの注意点を踏まえ、計画的かつ戦略的なアプローチで越境EC事業を進めることが、国際市場での成功への鍵となります。

3. .越境EC事業のビジネスモデル

3-1. 概要

越境EC(電子商取引)は、国際市場での商品やサービスの販売を可能にするビジネスモデルです。このモデルは、特に国内市場の飽和が進んでいる企業や、グローバルな顧客基盤を構築したい新興企業にとって魅力的な選択肢となっています。越境ECは、さまざまな販売戦略と技術的な進歩を組み合わせることで、国境を越えた商取引を容易にし、さらに幅広い顧客層へアクセスを提供します。

デジタルプラットフォームの利用
現代の越境ECビジネスモデルは、主にデジタルプラットフォームを利用しています。これにより、物理的なプレゼンスを必要とせず、インターネットが普及しているほぼすべての国と地域にリーチすることが可能です。デジタルプラットフォームを使用することで、コストを抑えながらも高いマーケティング効果を期待でき、データ駆動型の意思決定を支援することができます。

カスタマイズとパーソナリゼーション
越境ECでは、顧客体験のカスタマイズとパーソナリゼーションが重要です。各国の顧客の購買行動や好みに合わせて商品やサービスを調整することで、顧客満足度を向上させ、リピート率を高めることができます。例えば、地域に応じた言語オプション、通貨表示、地域特有のマーケティングキャンペーンを展開することが挙げられます。

スケーラビリティ
越境ECの大きな利点の一つに、スケーラビリティがあります。小さなニッチ市場からスタートし、徐々に他の国や地域に事業を拡大することが可能です。この柔軟性により、企業は市場の需要や競争状況を見極めながら、効果的に事業を展開することができます。

多様な収益モデル
越境EC事業は、複数の収益モデルを採用することができます。直接販売のほか、サブスクリプションモデル、アフィリエイトマーケティング、広告収入など、さまざまな方法で収益を生み出すことが可能です。これにより、一つの市場での売上が低迷しても他の方法で補うことができ、事業の持続可能性を保ちます。

このようなビジネスモデルの柔軟性と拡張性は、越境ECが多くの企業にとって魅力的な選択肢となっている理由です。テクノロジーの進展と共に、これらのビジネスモデルはさらに進化し、新たな市場機会を創出する可能性を秘めています。

3-2. ビジネスモデルにおけるポイント

越境ECビジネスモデルを成功に導くためには、以下のポイントが重要です。

データ活用の最適化
データ分析を通じて、顧客の購買傾向や市場の動向を把握することが必須です。具体的には、アナリティクスツールを用いて訪問者の行動をトラッキングし、どの国の顧客がどの商品に関心を持っているかを分析します。このデータを基に、ターゲット市場に合わせたカスタマイズされたマーケティング戦略を展開することが効果的です。

ユーザー体験の向上
ユーザーインターフェース(UI)とユーザーエクスペリエンス(UX)の最適化は、国際顧客を惹きつけるために中心的な役割を果たします。ウェブサイトは多言語対応であるべきで、各国の言語や文化に合わせたデザインが求められます。さらに、簡単にナビゲートでき、迅速なチェックアウトプロセスを提供することで、顧客満足度を向上させます。

効果的なローカリゼーション
商品のローカリゼーションは、各地域の文化や法規制に適応させることを意味します。例えば、一部の国では特定の成分が禁止されている可能性があり、商品の成分やパッケージをその国の基準に合わせる必要があります。また、地域に根差した祝日やイベントに合わせたプロモーションを行うことも、売上を増加させる有効な手段です。

これらのポイントを踏まえ、越境EC事業を運営する際には、細やかな計画と戦略的な実行が求められます。データの活用、ユーザー体験の最適化、そして効果的なローカリゼーションによって、グローバル市場での競争力を高め、事業の持続可能性を確保することができます。

4. 越境ECを展開していく際の成功事例

4-1. 事例企業① AYANOKOJI

AYANOKOJIは、がま口財布を中心に取り扱うネットショップです。京都から始まり日本全国に店舗を拡大しました。この成長を国際市場へと広げるため、ウェブサイトに多言語対応の海外専用カートを導入するサービスを活用しました。導入後、主に台湾、香港、シンガポール市場向けにマーケティング戦略を展開しました。この戦略により、特定のコラボ商品の売上が以前の2倍に増加しました。また、中国のSNSを運用開始後、1か月で顧客からの購入問い合わせが増え、10か月でフォロワー数は580名に達しました。これらの海外プロモーションは試行錯誤を繰り返しながら行われ、AYANOKOJIは海外でのブランド認知を徐々に拡大しています。海外専用カートの導入により、国際的な販売環境が整い、世界各地の顧客が簡単に商品を購入できるようになりました。この取り組みは、AYANOKOJIの国際市場での成長に寄与しています。

4-2. 事例企業② SAMURAI STORE

「SAMURAI STORE」は、日本の伝統的な甲冑のレプリカを専門に扱う越境ECサイトです。この店は、世界中の歴史愛好家やコレクターをターゲットにしており、高品質で詳細に作り込まれた甲冑を提供することで知られています。SAMURAI STOREは、製品の歴史的背景や製造過程を詳しく説明することで、製品への信頼感と興味を高めています。また、国際的な展示会やイベントに積極的に参加し、ブランドの認知度を上げています。専門性の高いこのニッチ市場での成功は、独自の製品と強力なストーリーテリングによるものといえます。

4-3. 事例企業③ DCPエンタープライズ

「DCPエンタープライズ」は、中古のブランドバッグやジュエリーを販売する海外向けの越境ECサイトDet Vintageを運営しています。この企業は、厳格な品質管理と認証プロセスを導入することで、中古品であっても顧客が信頼して購入できる環境を提供しています。さらに、各製品には詳細な写真と状態説明を加え、購入前の不安を解消しています。DCPエンタープライズは、効果的なソーシャルメディア戦略とターゲット市場に合わせたプロモーションを展開し、特にブランド意識の高い地域で顧客基盤を拡大しています。また、柔軟な返品ポリシーと親切なカスタマーサポートにより、顧客のロイヤルティを確保しています。

5. 海外進出・海外展開における影響

越境EC(電子商取引)は、企業がインターネットを利用して国際市場に商品やサービスを提供する手段です。このビジネスモデルは、特に物理的な店舗を持たない中小企業に適しており、デジタルプラットフォームを活用することで、低コストで効率的な市場進出が可能となります。特に多いのが、国内で一定の実績を持つ中小企業が、海外の消費者に向けて販路拡大を図るケースです。顧客体験のカスタマイズとパーソナリゼーションを通じて、地域特有のニーズに応えることができるため、顧客満足度を高め、リピート購入を促進します。さらに、データを基にしたマーケティング戦略を展開することで、新規顧客の獲得と顧客の維持が可能になります。

国内市場での成功後、さらなる成長を目指す企業にとって、国際市場への進出は重要なステップです。これらの企業は革新的な商品やサービスを提供し、「メイド・イン・ジャパン」のブランド力を背景に国際競争に挑んでいます。また、異文化間の違いを理解し、適応する能力も高いため、多様な市場環境での活動が可能です。

海外市場への進出は、企業にとって売上の増加やブランド価値の向上をもたらす一方で、文化の違いや法規制の複雑さ、物流の問題など、多くのリスクや課題に直面します。こうした課題に対して、戦略的な判断や専門家との連携を行い、的確な対応を進めることが成功へのカギとなります。

デジタル化が進む現代において、越境ECの重要性は増しており、戦略的な計画と地道な努力により、国際市場での成功は企業の持続的な成長に大きく寄与します。このように、越境ECは、企業が新たな市場機会を捉え、ブランドを国際的に展開するための効果的な手段となっています。

WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
また、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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