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2024.10.17

ドロップシッピングとは?メリット・デメリットと越境ECの注意点などを解説

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ドロップシッピングとは

ドロップシッピングは、ECビジネスの一形態であり、商品や製品の在庫を持たずに販売するモデルです。具体的には、販売者が商品を顧客に販売し、その注文情報をサプライヤーに転送することで、サプライヤーが直接顧客に商品を発送します。この仕組みにより、販売者は在庫を抱える必要がなく、サプライヤーが商品管理と発送を担当します。

 

通常のEC運営との違い

通常のEC運営では、販売者が商品を仕入れ、在庫を管理し、自ら発送を行います。一方、ドロップシッピングでは、在庫を持たずに商品を販売し、発送はすべてサプライヤーに委託します。この違いにより、ドロップシッピングは初期投資が少なくて済む一方、商品の品質や発送に関するコントロールが難しくなります。
また、「アフィリエイト」と「ドロップシッピング」はどちらもオンラインで収益を得るビジネスモデルで、混同される方が多いですが、ビジネスの仕組みや責任の範囲に違いがあります。アフィリエイトは、商品やサービスを記事として紹介したり、リンクをクリックして購入や契約が行われた際に、紹介者が報酬を得るビジネスモデルです。アフィリエイトパートナー(アフィリエイター)は、他社の商品やサービスを宣伝し、その成果に応じて報酬が支払われます。リスクが少なく手軽に始められる一方、収益も限られているため、低リスク・低リターンのモデルと言えます。一方でドロップシッピングは、商品を自社のオンラインストアで販売するビジネスモデルですが、在庫を持たず、販売した商品をサプライヤーが直接顧客に発送します。販売者は店舗を運営し、マーケティングやカスタマーサービスなどを担当しますが、製造や在庫管理、配送はサプライヤーが行います。在庫を持たない利点を持ちながらも、販売者としての責任が伴い、より大きなリスクとリターンの可能性があるビジネスモデルです。

アフィリエイトとドロップシッピングの主な違いの一覧:

また、ドロップシッピングにはさまざまな形態が存在し、AmazonやeBayでもドロップシッピングを活用することが可能ですが、それぞれ異なるビジネスモデルや特徴を持っています。ここでは、DSP型、直接契約型、オリジナルグッズ販売型の3つのタイプについてまとめています。

1. DSP型(ドロップシッピングプラットフォーム型)
DSP型(ドロップシッピングプラットフォーム型)は、企業や個人がプラットフォームを通じて商品を販売する形態です。このモデルでは、事業者が在庫を持たずに、プラットフォームが提供する商品を選んで、自社サイトやオンラインマーケットプレイスで販売します。特徴として、商品はドロップシッピングプラットフォーム側が管理し、顧客に直接配送するため、在庫管理が不要です。また、登録後すぐに販売を始められるため、初心者でも参入しやすいです。プラットフォーム側が仲介するため、商品単価に手数料が含まれる場合があります。代表例としては、ShopifyやAliExpressが提供するドロップシッピングサービスがあります。

2. 直接契約型
直接契約型のドロップシッピングは、事業者が特定のメーカーやサプライヤーと直接契約を結び、その商品を自社のオンラインストアで販売する形態です。このモデルでは、事業者がサプライヤーと個別に取り決めを行い、販売や配送を管理します。特徴として、商品ラインナップや契約内容を自分のビジネスに合わせて調整しやすく、カスタマイズ化が可能です。そして、プラットフォーム型に比べ、中間手数料が少ないため利益率が高くなる可能性があります。ただし、サプライヤーと条件を交渉する必要があり、商取引のスキルが求められます。代表例としては、アパレル業界や雑貨など、特定のメーカーとの直接契約を結ぶケースが多いです。

3. オリジナルグッズ販売型
オリジナルグッズ販売型のドロップシッピングは、自社でデザインしたオリジナル商品のみを販売するモデルです。ここでは、製造や配送は外部のサプライヤーに委託し、デザインやブランドは自社が管理します。このモデルは、クリエイターやブランドオーナーが自分のブランドを構築したいときに利用されます。特徴として、デザインやコンセプトが自社独自のものなので、ブランド構築に強みがあります。また、オリジナルデザインの商品でも、製造・配送を外部に任せるため在庫管理の負担やリスクがありません。しかし、独自ブランドでの販売なので、消費者への認知拡大やマーケティングが成功の鍵を握ります。代表例としては、オリジナルTシャツやマグカップをデザインし、外部の製造業者が作成・発送を代行する「Printful」や「TeeSpring」などのサービスが典型例です。

ドロップシッピングによるメリット

初期費用の削減
ドロップシッピングの最大のメリットの一つは、初期費用がほとんどかからないことです。通常、EC事業を開始する際には、商品を大量に仕入れたり、倉庫を用意したりするためのコストがかかりますが、ドロップシッピングでは商品を自分で仕入れる必要がなく、在庫を持たないため、これらの費用を抑えることができます。さらに、過剰在庫や売れ残りのリスクもなくなるため、資金面での負担が軽減されます。このため、比較的少ない資本でビジネスをスタートさせたい方や、リスクを最小限に抑えたい人にとって非常に魅力的なビジネスモデルと言えます。

運営の柔軟性
ドロップシッピングでは、複数のサプライヤーと提携することで、幅広い商品を取り扱うことができます。これは、顧客のニーズや市場のトレンドに応じて、素早く商品ラインナップを変更したり、新しい商品を追加できるという柔軟性を持っています。例えば、季節ごとに人気のある商品や、一時的なブームに乗った商品を簡単に販売できるため、変化する市場環境に迅速に対応することが可能です。また、特定のサプライヤーに依存せず、多様な取引先から商品を選ぶことで、取扱商品のバリエーションを豊富にすることができ、顧客の幅広いニーズに応えられます。

拡張性
ドロップシッピングのもう一つの大きなメリットは、ビジネスの拡張がしやすい点です。通常のEC事業では、ビジネスが拡大するとともに在庫管理や物流、発送業務が増加し、それに伴ってコストや手間も増えていきます。しかし、ドロップシッピングでは、これらの業務をサプライヤーが代行するため、自分で在庫管理や発送業務を行う必要がありません。これにより、売上が急増したり、扱う商品が増えても、事業運営に大きな負担がかからず、スムーズにビジネスを拡大できます。結果として、少ないリソースでも効率的に規模を拡大できるため、長期的な成長を見据えた運営が可能になります。

ドロップシッピングによるデメリット

利益率の低さ
ドロップシッピングのビジネスモデルでは、サプライヤーが商品の保管、梱包、発送までを担いますが、その分、手数料やマージンがサプライヤーに取られるため、利益率が低くなる傾向があります。自分で商品を仕入れて販売する場合と比べて、商品に対する利益を高く設定しにくいため、1つの商品あたりの収益は限られます。さらに、ドロップシッピングを利用する競合が増えれば、価格競争が激化し、より一層利益率が圧迫される可能性もあります。売上を伸ばすには、多くの商品を売るか、効率的なマーケティングや販売戦略を採用して、収益性を高める必要がありますが、それでも他のECモデルと比較すると、利益率の確保が課題となることが多いです。

品質管理の難しさ
ドロップシッピングでは、商品自体の品質や発送の迅速さがサプライヤーに依存するため、自社で直接管理できない部分が多くあります。例えば、サプライヤーが商品をきちんと管理できていない場合や、商品の品質にばらつきがある場合、顧客に不良品が届く可能性があります。また、サプライヤーが繁忙期や物流の混乱などで発送が遅れると、顧客が不満を抱く原因になります。これらの問題が続くと、ブランドの信頼が損なわれ、クレームや返品が増加し、顧客のリピート率が低下するリスクもあります。したがって、信頼できるサプライヤーを選び、継続的に品質をモニタリングすることが非常に重要です。

発送・配送のリスク
特に越境ECの場合、サプライヤーが国外にいることが多く、配送に関する課題も出てきます。関税の徴収や高額な送料がかかることがあり、それが販売価格に影響するだけでなく、顧客にとって負担となります。さらに、国際配送では通常の国内配送よりも日数がかかるため、顧客が期待するよりも配送が遅れてしまうことも少なくありません。これにより、特に競争が激しい市場では、迅速な配送ができないことで競争力を失う可能性があります。配送遅延が続くと、顧客の満足度が低下し、リピート購入が減少するリスクもあります。そのため、越境ECでのドロップシッピングを成功させるには、信頼できるサプライヤーを選び、配送に関するリスクを事前に考慮しておく必要があります。また、顧客に対して適切な配送時間やコストの情報を提供し、透明性を保つことも大切です。

ドロップシッピングにおける注意点

契約の明確化
ドロップシッピングでは、サプライヤーとの契約をしっかりと定めることが重要です。契約書には、商品の品質基準、納品スケジュール、返品・交換対応、破損時の責任範囲など、具体的な取り決めを記載し、責任の所在を明確にしておく必要があります。特に、商品が海外から輸送される越境ECでは、輸送中のトラブルや遅延が発生しやすいため、納期や商品の品質に関する条項を厳密に定めておくことで、トラブル発生時のリスクを最小限に抑えることができます。また、法律や規制が異なる国との取引になるため、国際的な取引に関する法律知識が求められます。特に、知的財産権や消費者保護に関する法規を理解しておくことが重要であり、契約時には専門家の助言を受けることが推奨されます。

顧客への説明
ドロップシッピングでは、商品が自社から直接発送されないため、顧客への事前説明が欠かせません。例えば、商品が海外から発送される場合、通常よりも配送に時間がかかる可能性があり、そのことを顧客に伝えることで、不要なクレームや不満を防ぐことができます。また、送料が高額になる場合や関税が発生する国への配送では、これらのコストを事前に顧客に伝えることで、予期せぬ費用が発生するリスクを避けることができます。さらに、返品やキャンセルのポリシーも明確にし、顧客が安心して購入できる環境を提供することが求められます。特に、返品対応がサプライヤーに依存する場合は、その手順や責任を明確にし、顧客に分かりやすく説明する必要があります。

各国の法律・規制への対応
越境ECでは、販売する国ごとに異なる法律や規制に従う必要があります。例えば、商品に対する輸入規制、税金、関税、さらには消費者保護に関する法律など、各国の規制を理解しておかなければなりません。商品のカテゴリーによっては、その国の特定の認可や基準を満たさないと輸入できない場合もあります。また、商標権や著作権の問題にも注意を払う必要があります。こうした法的リスクを軽減するためには、事前に各国の規制を十分に調査し、適切に対応することが求められます。特に輸入税や関税の処理に関しては、誤った対応が税務トラブルを引き起こす可能性があるため、専門家と連携しながら運営することが重要です。

ドロップシッピングとSEO対策
ドロップシッピングは、在庫を持たずに他社の商品を販売できるビジネスモデルですが、競争が激しいため、検索エンジン最適化を効果的に行うことが、成功の鍵となり、SEO対策となります。適切なキーワードを選定し、高品質なコンテンツを作成し、サイトの技術的な側面(速度やモバイル対応)を改善することで、検索エンジン経由のトラフィックを増やし、ビジネスの成長をサポートします。

EC事業の適法な運営は弁護士にご相談ください

ドロップシッピングは、在庫を持たずに比較的リスクの少ない形でECビジネスを始めることができる魅力的な手法ですが、一方で法的なリスクや契約管理に対する注意が求められます。特に越境ECの場合、各国の異なる規制に従い、適法に運営することが不可欠です。サプライヤーとの契約や顧客対応において一定の法的な問題が生じるリスクを減らすためにも、専門の弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。法律に基づいた契約や運営体制を整えることで、長期的なビジネスの成長をサポートし、スムーズかつトラブルの少ない運営が実現できるでしょう。

 


WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
また、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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