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越境ECで海外進出・海外展開を目指す企業をサポートする 越境ECメディア

最新動向
2025.03.05

越境ECの現状とは?市場規模と今後の成長予測について解説

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越境ECの市場の成長

近年、インターネットと物流の発展により、越境EC(Cross-Border E-Commerce)が急速に拡大しています。世界中の消費者が国境を越えて商品を購入することが一般化し、市場は年々成長を遂げています。特に、中国、米国、欧州が越境EC市場の主要なプレイヤーとして存在感を示しており、それぞれ異なる特徴を持ちながら発展しています。この記事では、越境ECの市場動向や成功のためのポイントをまとめます。

世界のEC(電子商取)市場に占める各国の割合

世界のEC市場では、中国が圧倒的なシェアを占め、米国や欧州とともに市場を牽引しています。中国では、海外ブランド商品の需要が高く、特に「Tmall Global」や「JD Worldwide」などの越境ECプラットフォームを通じた取引が活発です。一方、米国ではAmazonやeBayを中心としたEC市場が成熟し、欧州ではEU圏内での越境ECが一般的になっています。
日本市場に目を向けると、国内EC市場が成熟する中、海外販売への関心が高まっています。特に中国市場での日本製品の人気が根強く、化粧品や健康食品、家電などの分野で越境ECの需要が拡大しています。

中国:世界のEC市場の約40%以上を占める。越境ECの需要も高く、海外ブランドの人気が根強い。
米国:AmazonやeBayを中心としたEC市場が活発で、越境ECの利用も増加中。
欧州:EU圏内での越境ECが一般的で、特にドイツ、英国、フランスが主要市場。
日本:国内市場は成熟しつつあるが、海外販売のポテンシャルが高まっている。

世界における越境ECのこれまでの成長過程

越境EC市場は、インターネットの普及と物流の発展を背景に、2010年代から急成長を遂げてきました。特に、スマートフォンの普及やキャッシュレス決済の発展が市場拡大を後押しし、世界の消費者がより簡単に国境を越えて買い物をするようになりました。以下、年代ごとの詳細な成長過程を解説します。

2010年代前半(2010年~2014年):欧米市場が中心、AmazonやAlibabaが国際展開を強化

この時期は、越境EC市場が本格的に成長し始めた時期です。インターネットショッピングの利便性が向上し、世界の消費者が国内市場に限らず、海外の商品をオンラインで購入するようになりました。

・Amazon、eBayが越境ECの成長を牽引
 ・Amazonはすでに欧米市場で確固たる地位を確立していましたが、2010年代前半には中国や日本市場への進出を強化しました。
 ・eBayも、欧米を中心に越境取引を拡大し、特に個人間取引(C2C)の越境ECが活発になりました。

・Alibabaの国際展開
 ・Alibabaは、中国国内でのEC市場を独占的に拡大しながら、海外販売を可能にするプラットフォーム「AliExpress」を2010年に立ち上げました。
 ・AliExpressは、欧米やロシアなどの市場で広がり、中国のメーカーや販売業者が世界中の消費者に直接商品を販売できるようになりました。

・キャッシュレス決済の進化
 ・クレジットカード決済だけでなく、PayPalなどの電子決済サービスが普及し、国際取引のハードルが下がりました。
 ・特にアメリカやヨーロッパでは、消費者が海外のECサイトで安心して購入できる環境が整いました。

2010年代後半(2015年~2019年):中国市場が急成長、Tmall GlobalやJD Worldwideが市場を牽引

この時期には、中国市場の成長が顕著となり、越境ECの中心が欧米からアジアへと移行し始めました。

・中国の越境EC市場が爆発的に拡大
 ・中国では、国内のEC市場が急成長するとともに、海外ブランドへの関心が高まりました。
 ・2014年には、Alibabaが越境ECプラットフォーム「Tmall Global(天猫国際)」を立ち上げ、世界のブランドが中国市場に参入しやすくなりました。
 ・2015年には、JD.com(京東)が「JD Worldwide」を開設し、AmazonやeBayとは異なる中国独自の越境ECエコシステムを形成しました。

・スマートフォンの普及とモバイルECの拡大
 ・スマートフォンの普及により、モバイルEC(m-commerce)が急成長しました。
 ・WeChat Pay(微信支付)やAlipay(支付宝)などのモバイル決済が普及し、消費者がスマホ一つで簡単に海外の商品を購入できるようになりました。
・東南アジア市場の発展
 ・Lazada(ラザダ)やShopee(ショッピー)といった東南アジア向けのECプラットフォームが急成長し、東南アジア地域でも越境ECの利用が拡大しました。
 ・シンガポールやインドネシアなどの市場では、欧米や中国の商品をオンラインで購入する消費者が増加しました。
・物流の進化とフルフィルメントサービスの充実
 ・Amazonが「FBA(Fulfillment by Amazon)」を強化し、販売者が海外配送の手間を省く仕組みを提供。
 ・Alibabaも「Cainiao(菜鳥)」という物流ネットワークを強化し、世界中の消費者に迅速な配送を可能にしました。

2020年代(2020年~2024年):コロナ禍の影響で越境EC需要が急拡大

2020年以降、新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で世界的にオンライン購買の需要が爆発的に増加しました。この影響で、越境ECの市場規模も一気に拡大しました。

・ロックダウンによるEC市場の成長
 ・世界各国で外出制限が実施されたため、消費者の購買行動がオフラインからオンラインへと急速にシフトしました。
 ・国内EC市場だけでなく、海外の商品を購入する越境ECの利用も急増しました。

・D2C(Direct-to-Consumer)ブランドの増加
 ・企業が直接海外の消費者に商品を販売するD2Cモデルが拡大しました。
 ・ShopifyやWooCommerceなどのプラットフォームを活用し、中小企業やスタートアップも越境ECに参入しやすくなりました。
・ライブコマースの台頭
 ・中国を中心に、ライブ配信を活用した「ライブコマース」が急成長し、越境ECにも応用されるようになりました。
 ・TikTokやWeChatを活用したライブショッピングが欧米でも普及しつつあります。

・物流と決済のさらなる進化
 ・AIやビッグデータを活用した最適化された物流ネットワークが構築され、海外配送のスピードが向上。
 ・デジタルウォレットや仮想通貨決済など、新しい決済手段の導入が進み、消費者の利便性が向上。

世界の越境EC市場は、2010年代の欧米市場の成長を皮切りに、中国市場の急拡大、そして2020年代のコロナ禍を経て、さらに加速しています。今後も、スマートフォン決済やライブコマースの発展により、越境EC市場は引き続き成長を続けると予測されています。
企業にとっては、これからの越境EC市場の拡大を見越して、適切な販売戦略を立てることが成功のカギとなります。特に、中国や東南アジア市場の成長を見据えた戦略的な展開が重要となるでしょう。

日本における越境ECのこれまでの成長過程

日本の越境EC市場は、主に中国と米国をターゲットに成長してきました。特に、日本製品の品質の高さやブランド力が評価され、アジア圏を中心に人気が拡大しています。以下、日本の越境EC市場の成長を年代ごとに詳しく解説します。

2010年代:楽天やYahoo!ショッピングが海外展開を開始

背景
2010年代に入ると、EC市場が国内外で急成長を遂げ、日本企業も海外市場への進出を模索するようになりました。この時期、日本のECプラットフォームは、越境ECへの対応を強化し、海外の消費者に向けたサービスを拡大しました。

主な動向
楽天の海外展開
・2008年に台湾市場に参入し、その後、中国、米国、東南アジアなどへの進出を加速。
・2012年には、楽天グローバルマーケット(Rakuten Global Market)を本格的に展開し、日本の商品を世界中の消費者に販売可能に。
・しかし、中国市場ではAlibabaやJD.comの圧倒的なシェアに押され、2016年には撤退。

Yahoo!ショッピングのグローバル戦略
・2010年に「Yahoo!ショッピング香港」を開設し、香港市場を足掛かりに海外展開をスタート。
・2015年には「Buyee(バイイー)」と提携し、日本のECサイトで販売される商品を海外向けに販売する仕組みを構築。

Amazon Japanの越境EC対応
・Amazon Japanが、海外の消費者向けに日本製品を販売する仕組みを強化。
・2015年には「Amazon Global」の日本対応を拡充し、日本の販売者が海外の顧客に向けて販売しやすい環境を整備。

海外市場における日本製品の人気の高まり
・日本の化粧品、健康食品、家電製品などが、特に中国・東南アジア市場で人気を集める。
・2010年代半ばには、中国の「爆買い」ブームが起こり、日本製品の需要が急増。

課題
・日本のEC事業者は、中国市場の規模を活かすことができず、AlibabaやJD.comなどの中国企業に圧倒される。
・物流や決済の課題があり、越境ECを活用したスムーズな海外販売には時間がかかった。

2018年以降:日本製品の品質の高さが評価され、中国市場を中心に人気が拡大

背景
2016年以降、訪日観光客の増加により、日本の商品が海外の消費者に認知されるようになりました。また、中国政府の政策変更により、個人輸入(代理購入)から公式な越境ECプラットフォームを利用した購入へとシフトする流れが加速しました。

主な動向
中国市場における日本製品の人気拡大
・中国の消費者は、日本製品の「品質の高さ」や「安全性」を評価し、特に日本や韓国の化粧品や健康食品、ベビー用品が人気を集める。
・2018年には、中国のEC大手Alibabaが主催する「独身の日(11月11日)」のセールイベントにおいて、日本が「最も売れた海外ブランドの国」としてランクイン。
・「Tmall Global(天猫国際)」や「JD Worldwide(京東国際)」などの越境ECプラットフォームを通じて、多くの日本企業が中国市場に参入。
台湾・東南アジア市場への進出
・台湾やシンガポールなど、親日国を中心に、日本の商品がECサイトを通じて販売されるケースが増加。
・Shopee(ショッピー)やLazada(ラザダ)などの東南アジア向けECプラットフォームで、日本製品の取り扱いが拡大。

SNSマーケティングの活用
・WeChat(微信)、Weibo(微博)、TikTok(抖音)などのSNSを活用し、日本ブランドが中国市場向けのマーケティングを強化。
・特にKOL(Key Opinion Leader)を活用したライブコマースが、中国市場での売上拡大に貢献。

課題
・越境ECにおける関税や規制の変化に対応する必要がある。
・中国市場におけるブランド戦略の強化が求められる。

2020年代:コロナ禍の影響で国内消費が減少し、企業の海外展開が加速

背景
2020年、新型コロナウイルスのパンデミックにより、日本国内の消費が低迷し、多くの企業が海外市場への展開を加速しました。同時に、世界的なEC需要の高まりを受け、日本の越境ECも新たな成長フェーズに突入しました。

主な動向
国内企業の越境ECへの本格参入
・コロナ禍でインバウンド需要が消滅し、日本企業が海外向けECに注力。
・化粧品メーカー、食品メーカー、アパレルブランドなどが、越境ECを活用して海外市場をターゲットに。
・例えば、資生堂や無印良品などのブランドがTmall GlobalやJD Worldwideを活用して、中国市場での販売を拡大。

ライブコマースの活用
・2020年以降、中国を中心にライブコマースが急成長し、日本企業も積極的に参入。
・日本の商品を紹介するライブ配信イベントが開催され、インフルエンサーやKOLを活用した販売手法が普及。

日本政府の支援
・経済産業省が越境ECの支援策を発表し、中小企業の海外展開を後押し。
・JETRO(日本貿易振興機構)も、ECプラットフォームとの連携を強化し、日本製品の輸出促進を支援。

物流と決済の進化
・Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングが、越境EC専用の物流サービスを拡充。
・PayPayやLINE Payなど、日本のキャッシュレス決済サービスが、越境ECに対応。

課題
・コロナ後の消費動向の変化に対応する必要がある。
・海外市場ごとの規制や消費者ニーズの違いを理解し、適切なマーケティング戦略を立てることが重要。

日本の越境EC市場は、2010年代のプラットフォームの海外展開を皮切りに、2018年以降は中国市場を中心に拡大。2020年代にはコロナ禍の影響で国内消費が低迷する中、企業の海外展開が加速しました。今後も、日本の高品質な製品への需要は継続すると考えられ、越境ECはさらなる成長が期待されます。
今後、日本企業が成功するためには、ターゲット市場に応じた販売戦略やSNSマーケティングの活用が鍵となります。

越境ECの将来性

越境EC市場は今後もさらなる成長が見込まれ、企業にとって重要なビジネスチャンスとなることが予測されています。EC市場全体の拡大に加え、アジア圏の急成長、ライブコマースの進化、物流・決済システムの発展など、複数の要因が市場拡大を後押ししています。以下、今後の越境EC市場の成長の方向性について詳しく解説します。

世界のEC市場は2025年までに7兆ドル規模に拡大

近年のデジタル化の進展により、EC市場は急速に拡大を続けています。特に新興国を中心にオンライン購買の浸透が進み、越境EC市場の規模もさらに拡大すると予測されています。

世界のEC市場の成長予測
2021年の世界EC市場の規模は約4.9兆ドル(約720兆円)でした。2025年には約7兆ドル(約1,000兆円)に到達すると予測されており、年平均成長率(CAGR)は約10%前後と見込まれます。越境EC市場の成長率はさらに高く、2021年から2027年までの年平均成長率は約27%と予測されています。

成長の背景
・インターネットとスマートフォンの普及
 世界中でインターネットアクセスが拡大し、特に新興国でスマートフォンを活用したEC利用が増加。
・デジタル決済の普及
 クレジットカードに加え、モバイル決済や暗号資産(仮想通貨)を利用した取引が増加し、越境ECの利便性が向上。
・物流の発展と関税の緩和
 国際物流の効率化や貿易協定の整備が進み、海外向け販売のハードルが下がる。

アジア圏(中国・東南アジア)が成長の中心

越境EC市場の成長を牽引しているのは、アジア圏の消費者の増加と購買力の向上です。特に、中国と東南アジアは今後の市場拡大のカギを握る地域とされています。

・中国市場の成長
中国のEC市場はすでに世界最大規模であり、2023年には市場規模が2.8兆ドルに達すると予測されていました。「Tmall Global(天猫国際)」や「JD Worldwide(京東国際)」などの越境ECプラットフォームが成長を牽引している状況です。日本製の化粧品、健康食品、ベビー用品が人気を集め、引き続き大きな市場ポテンシャルがあります。

・東南アジア市場の成長
東南アジア(ASEAN)のEC市場は急速に拡大しており、2025年には3,000億ドル規模に成長すると予測されています。Shopee(ショッピー)、Lazada(ラザダ)、Tokopedia(トコペディア)などのプラットフォームが越境ECの拡大を後押ししています。また、若年層のインターネット利用率が高く、SNSを活用した購買行動が主流です。

・インド市場の可能性
インドのEC市場も急成長しており、2026年までに1,200億ドル規模に達すると予測されています。Amazon IndiaやFlipkartを活用した越境ECの展開が進む可能性があります。

SNSを活用したライブコマースの発展

近年、SNSを活用した「ライブコマース(ライブ配信型EC)」が急速に普及し、越境ECの新たな販売手法として注目されています。

ライブコマースの市場規模
・中国ではライブコマース市場が2022年に4,800億ドル(約70兆円)規模に成長。
・2025年までに世界のライブコマース市場は1兆ドル規模に達すると予測されている。
・TikTok、Instagram、WeChat、YouTubeなどのプラットフォームが越境ECにおいて重要な販売チャネルに。

ライブコマースの強み
・リアルタイムで商品の魅力を伝えられる
 インフルエンサーやKOL(Key Opinion Leader)が商品を紹介し、視聴者が即時に購入できる仕組み。
・エンターテイメント性の向上
 ただのECサイトではなく、動画コンテンツとして楽しめるため、購買意欲を高めやすい。
・越境ECとの相性が良い
 SNSを活用することで、海外の消費者にもリーチしやすく、従来のECサイトよりも直接的なマーケティングが可能。

今後の展開
・日本企業がライブコマースを活用することで、海外市場への販路拡大が期待できる。
・越境ECプラットフォームと連携し、よりスムーズな購入体験を提供できるようになる。

物流の効率化と決済システムの進化が市場を後押し

物流の効率化
・Amazon、Alibaba、DHLなどの大手物流企業が国際配送のスピードを向上。
・越境EC向けのフルフィルメントセンター(FBAやCBT物流)が充実し、小規模事業者でも海外販売がしやすくなっている。
・ドローン配送やAIを活用した物流最適化が進むことで、国際配送のコスト削減が期待される。

決済システムの進化
・デジタルウォレットの普及
 PayPal、WeChat Pay、Alipay、Stripeなどの決済手段が越境ECに最適化されている。
・仮想通貨・ブロックチェーン決済の台頭
 国境を超えた取引の手間を削減するため、仮想通貨を活用した決済サービスが拡大。
・後払い(BNPL: Buy Now, Pay Later)の普及
 消費者が支払いを分割できる「後払い」サービスが増え、越境ECのコンバージョン率向上に貢献。

越境ECに参入すべき理由

1.国内における消費の減少

日本市場は少子高齢化の影響で消費が鈍化しており、企業が国内市場だけに依存すると成長が難しくなっています。総務省のデータによると、日本の人口は減少傾向にあり、特に若年層の消費力が低下しています。そのため、新たな顧客層を開拓し、売上を拡大するには海外市場に目を向ける必要があります。越境ECを活用すれば、日本国内の景気動向に左右されず、安定的な収益基盤を確保することが可能です。

2.ターゲットにできる層の範囲が広がる

特に、日本製品は「高品質」「信頼性」「独自性」といった点で海外市場において高い評価を受けています。
アジア市場:日本の化粧品や健康食品は、中国や東南アジア諸国で人気が高く、日本ブランドへの信頼度が強い。
欧米市場:伝統工芸品やアニメ関連商品など、日本独自の文化を反映した商品は、欧米のファン層から根強い支持を受けている。
このように、ターゲット市場を広げることで、国内市場の縮小による売上減少を補い、成長のチャンスを増やせます。

3.低コストで海外に事業展開ができる

従来の海外進出では、現地法人の設立や店舗展開に多額のコストと時間がかかりました。しかし、越境ECであれば、比較的低コストで海外市場への参入が可能です。

ECモールの活用:Amazon、Shopee、Lazada、Tmallなどのプラットフォームを利用することで、初期投資を抑えながら販売を開始できる。
物流の発展:越境EC向けの物流サービスが充実しており、スムーズに海外配送が可能。FBA(Fulfillment by Amazon)などのフルフィルメントサービスを活用すれば、在庫管理や発送の手間を軽減できる。

SNSマーケティング:InstagramやTikTokなどを活用し、広告費を抑えながら効果的に海外市場にリーチできる。

このように、越境ECは、従来の海外進出よりもリスクを抑えつつ、グローバル展開を実現できる魅力的な手段となっています。

越境EC事業を始めるにあたってのポイント

1.ターゲット市場の選定

越境ECを成功させるためには、どの国の消費者が自社商品に関心を持つのかを明確にすることが重要です。ターゲット市場の選定には以下の点を考慮しましょう。

・市場の成長性:EC市場の規模が拡大している地域を狙う(例:東南アジアや中東はEC利用者が急増中)。
・購買層の特性:富裕層向けの商品なら北米・欧州、大衆向けなら東南アジアなど、ターゲット層に合った地域を選定。
・日本製品の需要:化粧品・健康食品は中国・東南アジア、アニメグッズや伝統工芸品は欧米など、各国の嗜好をリサーチ。

例:ターゲット市場の特徴
・中国:日本の化粧品、健康食品、ベビー用品の人気が高い。Tmall GlobalやJD WorldwideなどのECモールが主流。
・東南アジア:ShopeeやLazadaが人気。価格競争が激しいが、スマホECが急成長。
・北米:Amazonが圧倒的シェア。日本のホビー商品や伝統工芸品、和食関連商品が注目される。
・欧州:Etsyや独自ECサイトでの販売が有効。高品質な日本製品(刃物、インテリア雑貨など)が評価される。

2.販売チャネルの選定

越境ECの販売チャネルには、大きく分けて「ECモール」と「自社ECサイト」の2つがあります。それぞれの特徴を理解し、適切な戦略を立てることが重要です。以下にメリットとデメリットを一覧にしました。

選定ポイント
・短期間で売上を伸ばしたい場合:ECモールの活用(Amazon、Shopee、Lazada、Tmall Globalなど)
・ブランド力を強化し、長期的に事業を育てたい場合:自社ECサイト(ShopifyやMagentoなど)

3.ローカライズの徹底

海外市場で成功するためには、単に商品を販売するだけでなく、現地の言語や文化に合わせたローカライズが不可欠です。

・言語対応:商品ページや広告、カスタマーサポートを現地の言語で提供。Google翻訳ではなく、ネイティブ翻訳を活用するのが理想。
・文化・購買習慣の考慮:たとえば、中国では「赤は縁起が良い色」とされるが、欧米では「高級感」を演出する色と認識されるなど、国ごとの消費者心理を理解する。
・プロモーションの最適化:
 ・中国 → ライブコマース(Douyin、Kuaishou)が人気。KOL(キーオピニオンリーダー)を活用したマーケティングが有効。
 ・東南アジア → ShopeeやLazadaの「セールイベント」を活用。特定の日(11.11など)に合わせたキャンペーンが効果的。
 ・北米・欧州 → SNS広告(Facebook、Instagram、TikTok)が強力な集客ツール。ブランドストーリーを重視する傾向。

4.物流と決済の整備

スムーズな物流と現地での決済対応は、越境ECの成功を左右する重要なポイントです。

物流のポイント
・海外発送の最適化
 ・小規模なら国際郵便(EMS、DHL、FedEx)を活用。
 ・大規模なら海外倉庫を利用(Amazon FBA、Shopee Fulfillment)。
・配送スピードの確保
 ・ECモールでの販売では、配送が遅れるとレビュー評価が低下するため、現地倉庫を活用するのも一つの手段。
 ・特に中国市場では、配送のスピードが重要視される。

決済手段の最適化
・ターゲット市場に適した決済手段を導入
 ・中国:Alipay、WeChat Payが主流。
 ・東南アジア:ShopeePay、GrabPay、銀行振込。
 ・北米・欧州:クレジットカード(Visa、Mastercard)、PayPalが一般的。
 ・中東:キャッシュオンデリバリー(COD)が依然として人気。

越境EC事業に関するお悩みは専門家にご相談ください

越境ECの成功には、市場の理解と適切な戦略が欠かせません。越境EC市場は今後も拡大が予想されるものの、各国の規制や消費者ニーズの違い、物流・決済の課題など、克服すべきハードルも多く存在します。成功するためには、適切なマーケティング戦略の策定、現地の法律・規制への対応、効果的な物流ネットワークの構築などが不可欠です。

特に、新規参入を考えている企業や事業拡大を検討している場合は、現在の市場状況を反映した資料や報告書を活用しながら、専門家に相談することをおすすめします。越境ECの専門家やコンサルタントのアドバイスを活用することで、スムーズな市場参入と持続的な成長を実現できるでしょう。徴収の手続きや税務対策についても、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
以下のポイントを押さえることで、SEO対策となります:

・ターゲット市場の選定(市場調査を基に、需要のある国や地域を特定)
・販売チャネルの選定(ECプラットフォームの比較、出店戦略の策定)
・広告戦略の最適化(リピート率向上を目指したマーケティング施策)
・物流・決済の最適化(一定の品質を保ちつつ、効率的な物流網を構築)

これらを別々に考慮し、総合的に最適な戦略を立てることが重要です。事例や市場調査を基に、最適な方法を見つけましょう。また、定期的な調査やセミナーへの参加を通じて、最新のトレンドを把握することも有効です。
お客様のニーズに応じた戦略を策定し、専門家のアドバイスを活用しながら、海外市場での成功を目指しましょう!

WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。EC企業からの相談に、法務にとどまらずビジネス目線でアドバイスを行っている。
また、企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約書をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
著書「60分でわかる!ECビジネスのための法律 超入門」
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