水産物
高知県須崎市野見漁業協同組合
組合長西山慶さん
高知県須崎市の野見湾は、入り組んだリアス式の地形と温暖な環境に恵まれ、養殖業が盛んです。カンパチの養殖では、コスト度外視で、脂の乗った北の海のイワシ、アジなどの国産生餌を食べさせています。2〜3週間に1度、魚たちを真水250トンで洗う「淡水浴」をすることで、みずみずしい艶のあるカンパチになります。血抜きや神経締めなど、加工前の処理を徹底、鮮度と旨味を保つことで生まれる深い味わいは、料亭や高級寿司店はもとより、海外の有名フレンチからも高く評価されています。
コロナ禍の影響で出荷数量が激減、餌代だけで赤字が膨らむ中、20万匹の養殖カンパチが行き場を失いました。自分たちだけではどうにもできず、市役所に相談したところ、須崎市のマスコットキャラクター「しんじょう君」を運営する株式会社パンクチュアルをご紹介いただきました。この出会いがきっかけで、高知かわうそ市場の協力を得て、ECでの販売をスタートしました。「須崎勘八」は一般の方に知名度がないため、「しんじょう君」の発信力を借りてプロモーションするとともに、名無しのカンパチに名前をつけてもらうプロジェクトやSNSでの発信を通じて、生産者のこだわりや窮状を知ってもらうようにしました。SNSの広がりに加え、「送料無料」の補助事業が追い風となったことで売上げが伸び、大切に育てたカンパチを救うことができました。
そば
福井県越前市
有限会社越前そばの里ファーム
代表桶谷則雄さん
大正時代から福井でそばづくりを続けている当社は、“挽きたての風味豊かなそばの美味しさを味わっていただきたい”という思いから、自社直営農場でのそば栽培、自家製そばの製造・販売にこだわり、収穫後は、そばの実を低温で貯蔵しながら、その日に使用する分だけ挽くことで、香りと風味の豊かなそばに仕上げています。
挽きたてのそばを使った越前名物「おろしそば」を提供している店舗「越前そばの里」では、コロナ拡大に伴う休業要請により、約2ヵ月間休業、観光バスやマイカーの受け入れがストップしました。その後、ゴールデンウイークやお盆の時期も外出自粛要請により来客が激減、そば打ち体験の中止、お土産や食事でのそば販売ができなかったことで、売上は前年比30%ほどに落ち込み、そば粉の在庫が滞留するなど、大きなダメージを受けました。
水産物
熊本県熊本市株式会社ふく成
代表取締役平尾優さん
祖父の代から養殖業を手がけ、創業60年になる弊社は、日本地質百選にも選定された天草市御所浦町の美しい離島の海で育てた「とらふぐ」と「真鯛」を全国へお届けしています。八代海(不知火海)は山々に囲まれた内海で、栄養分が山からたっぷり流れ込むため、「宝の海」とも呼ばれ、その栄養豊富な養殖場でサバ・アミなどを配合した「ふく成オリジナル飼料」を与えながら、旨味成分たっぷりの魚を大切に育てています。
緊急事態宣言以降、ホテル、飲食、冠婚葬祭がすべて休業したことで、それまで月に3〜4,000尾ほど出荷していた真鯛が在庫として残るようになり、相場が下落、売上は最大8割減まで落ち込みました。そこで業態を見直し、個人向けに参入するため、EC販売をスタートしました。ご家庭での使い勝手を考え、赤ちゃんの離乳食やご高齢の方でも安心して食べられるよう、すべて骨抜きして真空パックで1切ずつ小分けにし、最新の冷凍技術を採り入れ、解凍しても生で美味しく食べられるものを提供しています。見た目のパッケージにも気を配り、手書きの手紙を入れて感謝の気持ちを伝えるなど、手元に届いた時に喜んでもらえるよう工夫しています。
花き
栃木県宇都宮市F.F.HIRAIDE
代表取締役平出賢司さん
年間約100万本、50〜70品種のユリを生産・販売しています。「ユリをもっと身近に飾ってほしい」という思いから、高品質で花もちのよいユリをリーズナブルな価格で提供できるように生産効率を高め、高度なコスト管理を実践するとともに、植物生理に基づく環境制御や土づくりを徹底し、化学肥料を使わない有機質肥料での栽培、太陽光発電設備の導入など、環境負荷低減にも取り組んでいます。
花にとって3月は大商いの時期ですが、今年は外出自粛となり、卒業式が制限されるなど、催事需要は軒並みなくなりました。東日本大震災の時も3月でしたが、あの時以上の打撃で、業界全体がダメになるのではないかと思うほどの落ち込みでした。そんな中、母の日だけは、こんな状況下だからこそ、花を届けたいという方が多く、EC販売が活発になり、発送業務が増えました。私たちが花を育てている理由と意義を再確認でき、救われる思いがしました。
茶
茨城県猿島郡石山製茶工場
石山奈幹さん
明治4年の創業から数えて6代目、150年以上続く茶農家として、茨城県の三大銘茶の一つ、「さしま茶」の栽培・製造・販売を手掛けています。「伝統を受け継ぎながら、茶の可能性を探求する」を理念に、茶畑の土づくりからこだわり、じっくり大切に育て、お茶の個性をしっかり生かしながら、気軽に飲めるけど、ちょっと贅沢な気持ちになれる、そんな“また飲みたくなるお茶づくり”を目指しています。
さしま茶は、日本で初めてアメリカへ渡ったお茶であるなど、古くから皆様に親しまれてきたお茶ですが、鹿児島や静岡に比べて知名度が高くないことなどから、販売に苦労していました。お茶は本来、個性豊かで、産地や製法などによりさまざまな顔を持つ農産物ですが、市場では個性が抑えられ、画一的な商品になりがちです。そこで、私たちは個性溢れるお茶の魅力を知ってほしいという思いで、他にはない個性的な味わいのお茶を自ら販売しようと考え、EC販売を始めました。小さくて可愛いパッケージで手軽に試していただけるようにしたり、食べ物を添えた写真で利用シーンを提案したり、お茶農家として抵抗のあったティーバックを開発したり、SNSを活用し、お茶の魅力や飲み方の提案をするなどの取り組みを行ってまいりました。その甲斐もあって、最近では、遠方から茶畑を見学に来るファンの方もできるようになってきました。
和牛肉
岩手県久慈市柿木畜産
代表柿木敏由貴さん
短角牛は、旧南部藩の時代に物資輸送を担っていた南部牛がルーツです。私たちが育てている牛は、春になると広大な牧草地に母子で放牧し、自然の中で牧草を食みながら秋までのびのびと過ごします。この放牧期間に自然交配し、冬は牛舎に戻り、100%国産の飼料を食べながら育ち、3月には新しい子が生まれます。健康で良質の赤身肉は、肉本来の旨味が楽しめることから、イタリアンやフレンチなどの料理人にも高く評価されています。しかし、国内流通量が1%にも満たないため、評価も知名度も低いのが現状です。短角牛を広く知ってもらい、継続的に生産支援する仕組みとして「CSA(Community Supported Agriculture:地域支援型農業)」を導入し、牧場ツアーや交流会、BBQなどのコミュニティー活動を通じて、ファンづくりを行っています。
震災のダメージからようやく回復してきた矢先に、今回のコロナ禍でした。牛は出荷までに2〜3年かかり、先読みできないところに餌という先行投資をしなければなりません。もともと流通量が少ない上、飲食店やホテル向けの出荷がストップしたことで影響を受けました。しかし、個人向けの自宅需要が増えたためか、ここに来てECの注文が急伸、特に離れたところに住む祖父母などの家族間の贈り物も多かったようで、今回のプロジェクトはとても役立ちました。
水産物
静岡県沼津市京丸うなぎ株式会社
代表取締役塚本和弘さん
当社のうなぎは、水と焼きにこだわりがあります。富士・愛鷹山系の清水を地下120mから汲み上げ、その弱アルカリ性の清らかな水をうなぎの浄化に使用し、不純物や泥臭さをしっかり取り除いてから加工します。うなぎの加工工程では、手焼きの美味しさを再現するため、機械・製法を独自に工夫しています。うなぎの皮と身の面に細かい刺し穴を開け、身割れを起こすことで、中までふっくらと蒸し上げ、開口部にも焼きが入るので、タレが染み込んで焦げ目が付き、香ばしい手焼きに近い味に仕上がります。
コロナにより外食系の納品がストップし、在庫を抱えた状態となり、量販店やスーパーも多少の動きはあったものの、販売は進みませんでした。直営店舗は、沼津市からの休業要請、全国的な外出自粛により人が動かなくなり、売り上げが取れず、従業員を休ませることになりました。そうした中、4月末からEC販売をスタート、当初はそれほど売れないだろうと思っていたところ、巣篭もり需要で予想以上の伸びでした。特に品質の良い高価格帯の商品を購入されるお客様が多く、外食できない分、家でいいもの・美味しいものを食べようという人が増えたのではないかと思います。
水産物
東京都江東区ホクエイ食品株式会社
製造部部長澤井康成さん
取締役 営業部部長片平和生さん
当社は、1982(昭和57)年、築地市場に天然マグロの専門卸売業として創業しました。マグロのおいしさは漁場や漁法はもちろん、船上での処理も重要です。「第七光洋丸」は、北大西洋アイルランド沖の良質な本マグロを船上で急速凍結させる高い技術を持つ数少ない日本船です。その第七光洋丸を丸ごと購入することで、高品質、高鮮度のマグロを飲食店中心にご提供しております。天然マグロは、養殖マグロと異なり、1本1本にばらつきがありますが、長年培ったプロの目利きが最高の1本を選び抜き、加工から、卸し、小売りまで一貫した自社管理体制により、マグロのおいしさを余すことなくお届けするよう日夜努力しております。
当社契約の第七光洋丸が日本に帰港し、これから60トンの魚を売るというタイミングで、コロナ騒ぎが起き、すべて在庫となりました。高価格のマグロの行き先は、ほとんどが銀座の寿司店や料亭ですが、休業や時間規制、インバウンド需要の激減で、一気に売り先がなくなりました。マグロは超低温の特殊な冷凍庫に保管しているため、在庫を抱えているだけで、月々の保管料がコストとしてかかります。少しでも捌きたいという思いでEC販売を始めたところ、予期せぬ売れ行きで、大変助かりました。「食材を余らすのはもったいない」「困った生産者を助けよう」という皆様の温かさに触れ、胸が熱くなる思いです。
品目横断的販売促進緊急対策事業における
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農林水産省の国産農林水産物等販売促進緊急対策事業の
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